もう一度、この場所であなたの愛を想う
変な文章に思われるかも知れませんが、ご一読いただけると嬉しいです。
そしてタイトルまでもう一度戻ってきた時に、その意味が変わっていたら幸いです。
「リリス、心から愛している」
あなたは凛とした瞳で迷いなくこちらを見てくる。
くすぐったいような気持ちを胸に抱きながら私はあなたの胸の中へと飛び込んだ。
初めて出会った時に見たあなたの澄んだ瞳は、目が離せないほど魅力的で恋に落ちたんだとすぐに分かった。
私は何度でもあなたに恋をする。
舞踏会で人気だったあなたの周りにはいつも人だかりが出来ていたけど、私を見つける度にその輪から真っ先に出て、私の手を握ってくれた時、私はあなたにもう一度恋をした。
喧嘩した時には、いつも私の好きな甘い甘いミルクティーを出してくれたから、口を尖らせながらも温かいミルクティーにあなたの優しさを感じたの。
ぽつりぽつりと零す私の言葉をしっかりと聞いているあなたに、私も「もっとあなたのことが知りたいわ」と真剣な目で返したわね。
何度、同じことが起きても私たちはちゃんと話し合って、その度に立ち上がれば良いのよ。
彼は私の気持ちに寄り添おうとしてくれている傍らで、私も、また、彼の気持ちを汲み取ろうとする。
お互いの目を見ながら、“彼に合わせるように大きく歩く”私と“私に合わせるように小さく歩く”あなた。
私も同じ気持ちなのよ、と伝えたいの。
「愛している」
かつてはそう言っていたあなたは一体どこへいってしまったのだろうか。
「ごめん、君のことはもう愛せない」
私は胸がいっぱいになるのを必死に耐える。
私は目を見開きながらただ見つめているあなたに強く期待してしまった。
「今からでも間に合うのなら変えてみたいんだ」
あなたから出る次の言葉を聞かなかったら、私の独りよがりな考えだと思い続けていたかもしれない。
「お互い、ちゃんと、前へ進もう」
悲しみに溢れた私がとうとう衝動的に頬を叩いた時、あなたはすごく驚いていたけれど、あの時が分岐点だった気がするし、あなたの中で何か決意したように見えたの。
ぽろぽろと流れ落ちる涙の意味をあなたは分かっていない。
あなたは自分の“理想とするリリス”に変えようと躍起になっていたのは分かっていたから、早くお互い話せば良かったんだ。
いつからかあなたは自分好きなコーヒーを私に飲ませるようになって、初めは美味しいフリをしていたけど、やっぱり苦さが身体中に広がった。
あなたはいつしか私を人形のように、“自分の好きな”ドレスとアクセサリーで飾り立てて、横に添えているんじゃないかと思うほど、私の目を見なくなったの。
隣同士にいるはずの私たちは大きな溝の両側から手を出して、寄り添おうとはしなくなったのを私は気づいていた。
あなたの目の中にもう一度光を見つけたくて、じいっと瞳を見つめた。
「私たちはもう変われないの?」
私は記憶にあるあなたとの思い出を紡ぎ出しながら、私も、そしてあなたも何か変われるんじゃないかって心細い希望を手繰り寄せながら必死で訴えた。
「リリス、もう分かっていることだと思うんだ」
力のなくなった私は肩を落として、あなたから次にやってくる言葉を受け止める準備をした。
「婚約を破棄しよう」
私はもう一度、あの場所へ戻れないかと強く願うと一歩踏み出した。
ここが折り返し地点になります。
下から1文ずつ、
“私はもう一度、あの場所へ戻れないかと強く願うと一歩踏み出した。”
“「婚約を破棄しよう」”
と上に向かって順にタイトルまで読んでいただければ幸いです。
★タイトルまで下から読んで頂いた皆さま、お読みいただきありがとうございます。
私が考案した手法ではありませんが、前からこの形式で書いてみたいなと言う思いがありましたので、今回、ようやく挑戦となりました。
稚拙な文章でほとんどモノローグの心情表現ばかりでしたが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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