表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

おじさんなんか好きじゃないけど……胃袋は完全に掴まれてる気がする。

仕事に追われて、頭が回らなくなりました。


この作品はそんな時の息抜きです。




もし読んで笑ってくれたら、


それだけで救われます。




よろしくお願いします。

[……見たことない天井]


ううん、違う。この天井、何度も見たことあるやつだった。

一度だけ言ってみたかっただけ。


ラノベとかあんまり読まないけど、こういうの、よくあるって聞いたから。

ちょっと体験してみたかっただけなんだけど……


うん、よくわかんない。


とりあえず起きよっか。

ここがどこかって?わかってるよ、冒険者ギルドの職員用休憩室でしょ。


なぜか私の部屋になってるんだけど。

しかもお金も取られてないって、ラッキーすぎない?


……


でもさ、これってちょっと図々しいかな?

誰にも怒られてないし、文句も言われてないけど……逆にそれが変じゃない?


やっぱり外で部屋探すべきだよね?それが常識ってやつでしょ?


 


「……お世話になりました」


「!!! 会長ーーーーーーー!!!」

「待ってて!今すぐ会長呼んでくるから!何かあった!?困ってる!?私たちがなんとかするから!大丈夫だから!!」


え?いや、ただ外に引っ越そうと思っただけなんだけど?


ずっとこの休憩室を占領してるのも良くないと思って。

職員さんたちの休憩室だし、私が使うの、変じゃない?


「いや、外で住もうかと……」


「なんで!?なんで外に!?」

「最初、住むとこなかったからってこの部屋を貸したんじゃん!?」

「まさか部屋が快適じゃない!?ちょっと待って!総務ー!!」


「そこの君!家具屋に連絡して!休憩室の家具、全部入れ替えて!高級品にして!!」


なんで家具を?まだ結構新しかったと思うけど?


あ、そうか。私、臭かったのかな……

姉さんたちに迷惑かけちゃった……ごめんなさい……


「ごめんなさい、私のせいで……」


「何があったんだ……?」


「会長……彼女が……出て行くって……」

「なにっ!?なんで!?何か望みがあるなら言ってくれ!この俺の権限で、完璧に解決してみせる!」


権力乱用はダメだと思いますよ、おじさん。

そういうの、ほんと良くない大人ってやつですからね?


「そういうの、良くないよ?」


「!! ってことは俺が悪いのか!?副会長!お前が今日から会長だ!俺は解体場に行く!人手足りてないんだろ!?それでどうだ!?」


解体場、人手不足なんだ?

ギルドってお金ありそうなのに、なんで人雇わないの?


でも、自ら進んで手伝いに行くなんて、ちょっとカッコいいじゃん。

権力を乱用するだけの汚いおじさんじゃなかったんだ……


ちがう!私はおじさん好きじゃないから!強調しとくけど!


「うーん……ふつう?」


「ふつう!?ならよかった!」

「じゃあ後のことは頼んだ、受付嬢。副会長、お前は上で引き継ぎ!」


会長おじさん、なんかバタバタしてたけど、仕事忙しいのかな?

真面目に働いてる姿って、いいよね。


でもカッコよくはないよ?全然カッコよくないからね?


「とりあえず食堂行って朝ごはん食べてきなよ」


あ、そうだ。朝ごはんまだだった……

食堂のおじさん、毎回ステーキ出してくれるけど、もう飽きてきたかも。


なにより……


「うーん、お金ない」


お金がなきゃ、ご飯も食べられないよね?


女神さま、いろんなスキルくれたけど、お金はくれなかったし!

次こそ文句言いに神殿行く!


あ、あとアイテムボックスね!あれも欲しいって言ったんだよ!


「入れば食べれるって言ったでしょ?なんでお金必要なの?食堂のご飯、美味しくない?」

「てかさ、なんでお金ないの!?君、めっちゃ持ってるよ!?」


持ってないけど?スカートのポケット探しても……あ、スカート干してたんだった……


「ない……」


「君のカード、ここにあるよ!ギルドが保管してる!中身めっちゃ入ってるから!今、受け取る?」


カード?なにそれ?なんのカード?

中にお金って……クレカみたいなやつ?でも未成年にカードなんか発行されるわけないじゃん?


「いらない」


「え!?なんで!? ああ……またそんな格好で……」

「カード入れる場所ないじゃん!……まさかパンツに差し込めってか!?」


受付のお姉さん、朝からずっとテンションおかしい。失恋でもした?

あんな美人でも振られたりするんだね~


でもよくギルドのお兄さんやおじさんたちにナンパされてるの見るし、男には困ってなさそうだけど?


あ……わかった。あれか、女の子のあれだよね。体調悪いやつ。


「お疲れ様です」


「!!」

「えっ……?それって、パンツにカード差してもいいってこと!?本当にいいの!?」


なにその発想!?私はATMじゃないんですけど!?


やめて〜、とりあえずご飯食べに行こ。

さっき受付のお姉さん、入れば食べれるって言ってたし。


お姉さんも休んでてね。体調悪いときは無理しちゃダメだよ?


 


「おじさん、ごはん」


食堂のおじさん、毎回ステーキ出してくるけど、たまにはご飯食べたいんだけど!?


てか、この世界に米ってないの?

みんな肉かパンばっかり。

お米のほうが安上がりじゃない?


みんなリッチすぎて、ちょっと羨ましいわ……

まあいいや、あとでダンジョン行って稼ご。


またステーキか……


もしかして、私のことペットかなんかと思ってる?

ステーキ専用生物ってこと?違うからね?


そういえば、前に倒した火竜、報酬一週間後って言われたんだけど、長くない?

もっと手っ取り早く稼げる方法、ないかな……


食堂のおじさんなら知ってるかな?


「おじさん、お金稼ぎたい」


「!!」

「君、めっちゃ稼いでるじゃん!?なんで今さらそんなこと聞くの!?」

「待って……まさか……それって……ダメダメダメダメダメダメ!!」

「俺、既婚者だから!いや、それ以前にそういうのはダメだって!やめとけ、マジで!」


あ、おじさんって結婚してたんだ……


いやいや、私は別におじさんが好きとかじゃないから!?

関係ないよね!?

ただ稼ぎ方を聞いただけじゃん!?

なんで勝手に恋愛みたいな話になってんのよ!?


しかも私、告白なんかしてないし!するつもりもないし!!

おじさん、ちょっと自意識過剰なんじゃない?


まあ、ちょっとイケてるけどさ。でも私はそんな軽くないんだよ?わかってんの?


てか、おじさんの奥さんってどんな人?ちょっと気になるかも……

おじさんに似合ってるのかな?


「見せてよ」


「!!!!!」

「ちょ、なに言ってんの!?なんで見せなきゃいけないの!?」

「だめだめだめ!ぜったい無理!君も見るんじゃない!」


なにそれ、ケチくさ!ちょっと見せてくれたっていいじゃん!

あ、わかった。奥さんなんかいないんでしょ?そんで見栄張ってんの。ウケるんだけどw


あっ!


だからかー!毎回ステーキくれるの、やっぱそういうことだよね!?

狙われてたんだ……やっぱり……!


毎日ステーキなんて、どう考えても動機が不純!


でもさ、おじさん、ちょっとカッコいいし……

もしかして、私、ちょっと考えちゃってる!?


これが、胃袋を掴まれたってやつ!?

前に誰か言ってたなー、「男のハートを掴むにはまず胃袋から」って。


もしかして、私が落とされた側!?

こんなに頑張ってるなら、ちゃんと向き合った方がいいのかな……


「未熟者ですが、よろしくお願いします」


「!!! 会長ーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


え、また会長!?会長ってそんな暇じゃないでしょ!?

ギルドの中でも一番偉い人なんだよ?知ってるよ私!


あ、もしかして証人が必要ってこと?


そうか……私、もう結婚しちゃうのかな……早すぎない?

でも異世界だし、こっちの女の子、私と同じくらいの歳で子ども抱いて市場歩いてたりするし。


……ってことは、私くらいの年でも結婚OKってこと?

でも……子どもは……うーん……まだ早いかな?


「今度はなんだ……?」


「会長!彼女が……彼女が……」


「まだ……その時じゃない……」


「おい、ふざけんなよ!?お前、結婚してんだろ!?なんであんな年下の女の子に子ども産ませようとしてんだよ!!」

「その歳で何考えてんだ!?気持ち悪いんだよ!」

「マジでやめろ、そういうの!脳内でも禁止!!」

「妄想でもアウトだからな!絶対に!!」


「………………ごめんなさい……」


え!?おじさん、本当に結婚してたの!?

やっばー!私、めっちゃ恥ずかしいんだけど!?

なんかひとりで盛り上がっちゃってた!?最悪~!


男って、ほんとそう。

奥さんいるのに若い子に手出すとか、最低なんだけど。


……でも異世界って、一夫多妻とかあるんでしょ?

じゃあ、おじさんは悪くないのかも?


でも、奥さんと仲良くやれる自信ないなあ……


うーん、やっぱり一回奥さんの顔見てから考えたいな。


「見せてよ?」


「!!?!?」

(その場にいた全員が、一斉に変な声を上げた。)



「もういい!なんなの君!?はいはい!スカート持ってきたから早く履いて!!」


受付のお姉さん、突然食堂に突撃してきて、私のスカート届けてくれた。ありがと~

さてと……今日の寝床探しに行かなきゃね。


ご飯も食べたし、とりあえず外ぶらぶらしてくるかな?


「ちょっと待って!どこ行くの!?」


さっき言ったじゃん!部屋が欲しいって!!

今日の寝場所、まだ決まってないんだよ!


あ、受付のお姉さんに聞けば早いかも。

あの人、なんでも知ってるもんね。


武器屋の場所も、

宿の相場も、

ご飯の美味しいとこも、

魔物の出る場所も、

薬草の採れるとこも、

パーティの動向も……


ウィ●ペディアより優秀なんじゃない?


「部屋がほしいの」


「ま、まって!何のために!?まさか食堂の人と部屋で何か!?」

「いや、違う、私は君のこと干渉しすぎかも……君が幸せならそれで……」


「会長!このままでいいんですか!?」


受付のお姉さん、すっごい焦ってるけど、私ただ寝る部屋が欲しいだけだよ!?

他の冒険者には色々アドバイスしてるのに、なんで私だけくれないの!?


もしかして、冒険者じゃないから!?……あれ?私って登録したっけ?


「ほしいの!」


「………………」


「……食堂の人、ちょっと奥さん連れてきて。続きはそれからだ」

「……わかった」


えっ!?ついにおじさんの奥さんに会えるの!?緊張してきた……!

うわぁ……二人の女が一人の男を支える……さすが異世界……!


でも私、別におじさんのこと好きじゃないからね!?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ