出動
度重なる訓練を経てとうとうここまで来た。
「我々三人は飛行艇に乗って時空に進出する。私は二人の初仕事をサポートする」
「はい!」
「了解ニャ!」
本部長のカインに出発の挨拶をする。
「只今よりパトロールに向かいます!」
シャールが代表して発言する。
「うむ‥健闘を祈る。それから洋二、シロ!」
「はい!」
「ニャ!」
「魂は何度も転生出来ない‥死ぬんじゃないぞ!」
「‥はい」
「‥ニャ」
「銀河パトロール部隊、出動します!」
俺たちは広い施設内を“移動”を駆使して素早く走る。
「飛行艇ゲート開きます」
AI音声が案内した先に格納庫がある。
中には大小様々な飛行艇がズラリと並んでいて、作業ロボットがメンテナンスや警備を行っている。
「乗船完了」
俺たちが乗った機体は“ベアー”と呼ばれる大型飛行艇だ。ビーム砲や宇宙フレアなどを搭載している。
操縦スペースだけでなく居住空間や娯楽施設、小型の飛行艇まで備わっている。
「カタパルト開きます」
音声案内により格納庫前方の壁が開いていく。
一面に広がる宇宙は遥かな星を煌めかせるほどの漆黒だ‥
「発進!」
シャールの掛け声により一気に射出した。
ドシュッ!‥ピシーン‥
青白い光源を放ちながら銀河を彷徨う。
「二時間は安全だ。各自自由にして良いぞ」
シャールは操縦を担当しているのだが、自動操縦に切り替えた。
敵の攻撃や隕石の回避以外は自ら操縦する事は少ない。技術力は地球とは段違いだな。
「二時間でどれくらい進むんですか?」
「そうだなぁ‥八万光年弱かな?」
光が一年に進む距離が一光年だとすると凄まじい距離である事が分かる。
「お菓子食べて良いニャ?」
「シロ‥お前は呑気だなぁ〜」
「ハハハ!まぁ良いさ、どうせ暇だしな」
二時間はあっという間に過ぎてしまった。