成果
「これより技能テストを行います。滝田洋二、前へ」
無機質なAI音声が訓練所に響く。
これまでに習得した技術を確認するテストだ。
「始め」
ザザッ‥
合図と共に複雑な障害物が広範囲に広がる。
先ずは足場の悪いエリアを軽い浮遊状態で進んで行く。
続いて迷路の様な入り組んだ障壁が連なる。
素早く動いたり、スピードを落としたりを繰り返す。
かなり難儀した。
開けた場所に出た。
空中には足場の様な物が点在している。
腰のボタンを調整して素早く走る。
ジャンプ機能も駆使して足場から足場へ渡って行く。
宇宙空間における移動で隕石の合間を進まなくてはならない事を想定している。
「移動エリア完了」
音声が告げた先には仮想敵が出現した。
人型の物や蛸足の様な物まである。
それぞれがランダムで動きながらレーザー光線をこちらに照射してくる。
シュピーン!
「フンッ!!」
片手で防いだり、しゃがんで立膝で弾いたりした。
反撃をせずに仮想敵を突破しなければならない。
移動する間も次々と敵が湧き出てくる。
習得した“移動”を使いながら時には攻撃自体をスルーする。もう少しで通過する。
「滝田洋二はレーザーブレードとビームガンを取得して下さい」
制服の左腰に折り畳まれたブレードをさす。
右腰のホルスターにはビームガンだ。
ガタガタ!
離れた位置から大量の的が現れた。
シュピーン!シュピーン!
的を次々に貫通させてゆく。
無反動で弾速は速いが威力は火薬銃の数十倍はある。黒丸の中心に丸焦げのあとが付く。
ウィーン‥
地面や空中に人型の障害物が出現した。
「硬質モード!」
ブレードを腰から展開して叩きつけてゆく。
バリッ!バシン!バリッ!
シャール程ではないが粉砕してゆく。
「切断モード!」
次の的は丸太のような形をしている。
スパッ!シャキーン!
スパッスパッ!カキーン!
斬る際に金属音の様な音が響く。
「最終ステージです」
体力や技術は上がっているが汗だくだ。
あと少し‥
最後に来たエリアでは複数の敵に囲まれた。
レーザーを照射しながらこちらを捕縛しようとして来る。マズイ‥
「撹乱発動!」
仮想敵を捌きながら距離を取り一瞬で消える。
一部の敵はセンサーを駆使してまだ追跡して来る!
「分身!」
大量の影武者を投入して完全に脱出した。
「今回の二人の成績を見てみよう!」
シャールが汗だくの俺たちに説明する。
「洋二は移動や防御に時間が掛かったが及第点だ。シロは攻撃や撹乱が未熟だが移動に関しては並外れた能力を持っている。撹乱を覚えれば偵察が可能だろう」
俺たちはシャワールームに移動して休みに入った。