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大宇宙

試行錯誤しながら武器や制服の扱いを習得する。

体力や精神面よりもやはり“センス”が影響するようだ。


元は猫だったシロは制服機能の一部である“移動”を上手く使いこなしている。だが“撹乱”については概念から頭に入れなくてはならないので難しく感じている。


俺は武器の習得が早かった。

男ならスポーツ経験が無くとも小さい頃にチャンバラや撃ち合いごっこをして遊んでいる筈だ。

その容量でやると上手くいった。


「洋二、慢心してはならないぞ!」


「はい‥」


割と訓練が楽しすぎて調子に乗ってしまった。

いかんな。


数日は訓練所と当てがわれた居住スペースの往復だ。

プライベート空間はあるがプライバシーは皆無だ。

何らかの監視装置と生態識別装置が常に全員に働いている。スパイ対策なら致し方ない。


案外この監視がウザくて任務につく刑事もいるんじゃなかろうか?


訓練が終わってそれぞれが更衣室に向かう‥



シロは相変わらず服の着脱に戸惑っているが、ボタンは閉めれるようになった。

下着などの密着するタイプはまだ自分で脱げない。


「うんニャ‥やっぱりむりニャ〜」


ブラやパンティが脱ぎかかった姿はかなりエロティックだが見ているのは自動監視装置のみだ。

カインやシャールも異常が報告されなければ確認などしない。それ程技術が発達しているのだ。


「自動脱衣モードに切り替えます」


シロは機械を頼りにして着替え終わった‥




俺たち三人は途中廊下で落ち合った。

それから食堂に向かう。

別に個別で食べる事も可能なのだが親睦を深める良い機会だ。強制ではない。



「金や食べ残しの心配はいらないからメニューを見てくれ」


シャールが親切に説明してくれる。


「どうも」

「助かるニャ!」


不思議な事に人種の違いや元動物であっても理解出来る仕様になっている。

渡されたパネルは薄く軽いのに凄まじい情報量だ。

画像と文字が表示されるが種類が多すぎる。


「私の故郷の飯は君たちの世界で言うフルーツサンドに近いやつだ。不思議だろ?」


「へぇ〜そんなのもあるんですね〜」


「チュールはないのかニャ?」


それぞれが好みの品を選択した。

僅か一分程で機械が運んできた。


「早っ!」


「はっはっは!私もはじめはそうだった‥」



俺はカツ丼、シャールはフルーツサンド擬き、シロはチュールを頼んだ。


「食べ終わったら外に行こう!」


「是非」

「楽しみニャ!」




それから小一時間して施設を移動した。

すっかり“移動”も使いこなしたので時間も掛からなかったがドキドキする。外に出るのは初めてだ。



「着いたぞ」


身の回りに監視ロボットがやって来る。


「三人の外出を許可します」

AI音声後に扉が解除された。


「おぉ〜〜!!」

「キラキラしてるニャ!」



そこは一面広がる大宇宙だった。

本部は惑星の地表に作られているみたいで、クレーターのボコボコが周りに目立つ。


その先には恐らく宇宙飛行士でなければ見れない“生の宇宙”がどこまでも広がる。


「これはスゴイ。人間が小さすぎる‥」


ふと大事な事に気がついた。


「アッ!耐圧服とか要らないんですか!?」


「プッ‥面白いな君は。もう地球人じゃない。安心しなさい」


どうやら肉体が完全に宇宙に適応している。

これはスゴイぞ!


「私は部屋に戻るから‥」


きっと信用してくれたのだろう。


「シロ、走ってみないか?」

「行くニャ!」


年甲斐も無く童心に帰って暫く走り回った。

それから監視ロボットが俺たちに小言を言って来た。


「これ以上の行動は脱走とみなします。速やかに本部へお戻り下さい」


「帰るか‥」

「ニャ‥」


まるで叱られたガキみたいだ。

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