配属
いきなり“時空刑事”と呼ばれた俺は別の空間に飛ばされた。
シュワー‥
キラキラと光る粒が空中に投下されると全身が転送された。意識もハッキリしてくる。
「ここは‥」
先程までと違い、しっかりとした“空間”がある。
広々とした施設は大理石を思わせる黒や白を基調とした配色だ。大きな美術館や私立学校をイメージしてもらいたい。
10メートル置きくらいに同じデザインの太い柱が連なっている。ふと隣から気配がした。
「へい、洋二〜!来ちゃったニャ!」
目の前にはスレンダーな美少女が立っていた。
髪は亜麻色のショートカットだ。
服装は上下を白で統一されたセーラー服だ。
目は丸々として大きくまるで‥
「お前‥あの白猫か!?」
「そうだニャ!」
亜麻色の下からピョコンと猫耳が飛び出した。
「‥すまんな、死んでしまったか‥悪かった‥」
「お陰で人間みたいになれたニャ!‥ニャハハハ!」
豪快に笑う姿に少しホッとする。
「お前の名前は?」
「う〜ん‥シロでいいニャ!」
「そうかシロか‥よろしくな!」
コツ‥コツ‥コツ‥
誰かが前方から歩いて来る。
どうやら二人みたいだ。
「ようこそ!ここは銀河パトロール本部だ。君たちの魂がグランデルから召喚されたと連絡は受けた。つまり転生に成功したのだ」
「あのー‥貴方は?」
「すまないね!私は銀河パトロール本部長のカインだ。隣にいるのは時空刑事のシャールだ!」
「君たちの教育をするシャールだ‥よろしく!」
「よろしくお願いします!」
「よろしくニャ!!」
“カイン”
銀河パトロール本部長を務めている。
性別は男性らしい。
西洋風の彫りの深い顔立ちで見た目は50〜60歳くらいだろうか。
前世で見た俳優の阿部ひ◯しに似ている。
“シャール”
どちらかと言うとアジア系に近いイケメンだ。
こちらも男性だろう。
制服を着用しているが時空刑事専用だろうか。
歳は20〜30歳か?
見た目は若い時の草刈ま◯おに似ている。
「早速だが今から施設を案内する。着いてきたまえ」
広い施設を案内されたが、階段やエレベーターは無かった。階層は一階のみらしい。
と•に•か•く広い!!
施設を移動する為の車両みたいなのを期待していたが叶わなかった。いずれ慣れるとしか言われない。
訓練所や作業所、食堂に休憩スペース。
更には寝泊まりする部屋もあるが、一つ一つが大きく作られている。プライベートの配慮が凄い。
「あの‥質問よろしいですか?」
「洋二だったね?構わないよ」
シャールが歩きながら返答する。
「これだけの施設なのに俺たち四人しかいないのは何故ですか?」
「時空刑事は総勢百名を越すが皆任務に就いている。報告や調整で帰還もするが今日は居ないだけだ」
「そうですか‥警備体制は大丈夫なんですか?」
「それは私から説明しよう」
カインが説明を開始した。
「君たちの故郷、地球にも警察や軍隊、大企業のビルなどに警備員や衛兵がいるだろう。我々は寧ろ危険だと考えている」
カインが言うには以前に帰還者やスタッフを装って敵のスパイが潜入した事があったみたいだ。
常に誰か特定の人物がいる状態を無くす事で逆に隙を無くしている。
敵の攻撃に関しては自動迎撃システムが完璧に防御する。
「つまり本部にいるのは私一人で充分なのだ。君たち以外の刑事は仕事やシステムに慣れているから寧ろシャール君の存在が異質かも知れないね!」
「ありがとうございます。本部長」
「結構だよ」
それから俺たちは別々の更衣室に通された。