真実
「早い話がリコール隠しだ」
本来なら責任を問われる筈の無いバス会社は巨大企業の陰謀によって犠牲になった‥
よくある話でタイヤ接合部やボルトの耐久性に問題があったのを長年隠していたという事だ。
メーカーは金と権力に物を言わせて揉み消した。
全国でも似た事件はあるだろう‥
「正直悔しいですが‥生き返る訳ないんですよね?」
俺はグランデルに問いかけた。
「残念ながらそうだ」
それから続けて話した。
「国家や大企業にはこんな輩がわんさかいるが、どうも地球人だけの仕業ではないのだよ‥」
「それはどういう‥」
「私は“時空犯罪”が絡んでいると見ている‥」
「時空犯罪?」
驚くべきことに国や企業、軍隊のトップに地球外からコンタクトを取って犯罪に加担する連中がいると言う。
連中の目的は“情報収集”と“遊び”らしい。
前者は地球人がどんな倫理観を持っているのかを調べて地球侵略の足掛かりにしようとする為だ。
後者は圧倒的な能力を用いて悪事に加担する行為に快楽や愉悦を感じたいからだ。
「宇宙は広いだけでは無い‥あらゆる時空に繋がっているのだ。異世界、並行世界、数億光年離れた世界‥様々なのだよ」
「はぁ‥」
色々衝撃だが俺はどうすれば良いのか分からない。
「洋二よ‥君の故郷を、否、宇宙を救う仕事に興味は無いか?」
「俺が‥宇宙を‥」
確かに死んで悔しかった。
だがこのまま違う選択をして転生をしても記憶がある限り心にモヤが残る。
グランデルに聞いてみよう。
「記憶を消して違う選択をすることも可能でしょうか?」
「無論だ」
「少し考えます‥」
胡座をかいて頬杖をする。
真っ白な世界に沈黙が訪れる。
「俺、やりますよ‥」
「本当に良いのだな?まだ選択肢はあるのだがな」
「記憶消されちゃおしまいですから」
「そうか。地球にもまだ“正義”が残っていたのだな」
「悪いことは許せないですから‥」
グランデルは何かの指示や呪文のようことを始めた。
それから一息ついて放った。
「今から君は時空刑事だ!」