察知
「主よ、我らを導きたまえ。アーメン‥」
礼拝堂での祈りを終えて再び庭作業に移る。
高齢の牧師は掃き掃除など軽作業をする事になっているが、生憎私は若い。
「シャールさんは良く働きますね」
「とんでもありません。全ては神に仕える為」
「素晴らしい心構えです。きっと主も見ております」
先輩牧師たちからもそれなりに認めてもらえる様になったが貴族と違い特別扱いなどされない。
このあたりは時空刑事の先輩としてなんとか良い見本を見せたいところだ。
「夕刻までには皆さん切り上げて下さい」
「はい!」
年配牧師が指示を出して戻って行った。
時は夜。
神に仕える全ての人々が眠りについている‥
だが私は撹乱を使いながら礼拝堂まで来ていた。
象徴的な女神像‥
暫く調査をしていたが怪しい。
「何をしているのです‥シャールさん‥」
何!?
撹乱を見破る存在が教会に居たとは!
「貴方は知りすぎた。消えてもらう‥」
先輩牧師の形が変化した!
ギュギュギュ!!
空間ごと歪めながら怪物が現れた。
「グハハハ!!ゲドーを舐めたらいけないよ〜!!」
二足歩行の猛獣の様な姿をしたソレは大きな鉤爪で威嚇してくる。
「牧師が殺しはいかんよな!!」
覚悟を決めていつもの制服にチェンジする。
「シャッー!!」
見た目に寄らず素早い動きで接近して来る。
鉤爪の攻撃を“防御”を駆使して遮る!
「喰らえ!!」
腰からレーザーブレードを抜いて叩きつける。
「ムゥ!!」
怯んだ隙に距離を取る。
「切断モード‥」
素早く斜めから斬りつける!
「ヌワッ!!」
白い光を傷口から吹き出しながら消滅した。
床には気絶した先輩牧師が倒れていた‥
「牧師は仮の姿‥何かある‥!!」
気づかれないように先輩を寝室に運んだ後に再び女神像まで戻る。
「コレは!!」
特殊な装置でスキャンをすると何らかの洗脳電波を発していた。
「恐らくリカルドとは別に機械的な侵略もしているのだろう‥今壊せばゲドーにバレるか?」
ひとまず様子見のシャールだがコレが思わぬ事態を招く。
“ゲドー本部”
惑星グリンや銀河パトロール本部から数億光年も離れた位置に存在する時空犯罪組織の根城だ。
巧妙な罠や妨害装置により未だに取り締まれない厄介な存在だ。
「グリンの監視網に穴が空き、洗脳装置の守護者からも連絡が途絶えた‥」
玉座に座る者がイライラしている。
「申し訳ありません!只今使者を派遣中です!」
「手緩い!!」
そして人差し指を右側に向けた。
シュワシュワシュワ‥
カメレオンの様な見た目の怪物が現れた。
「コイツも連れてけ‥」
「ハハッ!」
惑星グリンへ向けて円盤数機が飛び立った‥