撹乱
「よく来たなメイド。服を脱がせろ‥」
「畏まりましたニャ!」
リカルドの寝室には二人。
元は猫のシロでもどんな展開になるかは分かっている。無論抱かれる訳にはいかない。
「お前も脱げ‥」
「‥」
スルスルとメイド服の擦れる音が響く‥
既にシロは“撹乱”を発動している。
「ほほう‥陶器の様に美しいではないか」
「お褒めに預かり光栄ニャ‥」
実際には薄めの下着を着用しているのだが、リカルドには全裸の美少女に映っている。
「旦那様のお好きにしてニャ‥」
いきなりコイキング(自主規制)をかまして来たが、唇に触れる直前に擬似的なキスの感覚を与える。
これに満足したリカルドはやたらベタベタと身体を触る。無論ノーダメージだ。
「せっかくなのでご奉仕させていただくニャ!」
いきり立つリカルドのリカルド(規制)を“撹乱”で最大限に包み込む。
「ぐっ!!‥おあおあっ!!なっなっ!?」
訳のわからない声をあげて何度も昇天する。
「なっ‥この私が‥」
本番を迎える前に奴はダウンした。
「お布団かけますニャ‥」
とんでもテクニックによってシロはピンチを乗り越えた。
その頃俺はある人物の世話をしろと言われていた。
「遅い!早くエスコートしてよね?」
“アン”
リカルドとイザベラの間に産まれた娘だ。
年齢は12歳。綺麗系の部類だが貴族特有の我儘が目立つ。何故か俺を気に入り連れ回している。
「お嬢様、荷物を持ちながらでは限界があります。他の執事の方にもお声かけしては?」
「せっかくの外出にむさ苦しいオヤジばかりじゃ嫌じゃない?」
「ではメイドを数名‥」
「はぁ?アンタは黙って着いてくれば良いの!!」
街での買い物帰りに馬車に乗ろうとした瞬間‥!!
「危ない!!」
前方から走ってきた少年少女達がアンにぶつかった!
抱えた荷物を放り出して“移動”を使う。
危うく地面に頭を打つけるところだった。
「お怪我はありませんか?」
お姫様抱っこの状態で問いかける。
「えぇ‥もう結構だわ‥」
「申し訳ありません。商品を落としてしまいました」
「いいわ‥早く帰りましょう?」
いつものガミガミがその日から少し治った。