伯爵
“財務大臣•リカルド”
カープル帝国の収支計上と分配について担当している財務大臣だ。首都ではリカルド•ビスコティ伯爵として有名だ。爵位的には大したことの無い人物だが国の財務を担う貴重な人材として丁重に扱われている。
年齢は47歳•男性で眼鏡をかけている。
「リカルド様、お二人の面会時間です」
「うむ、通せ」
暫くして先に入室したのは‥
「衛兵に頼んで来ましたシロだニャ!よろしくお願いしますニャ!」
活発だが言葉遣いに難ありの印象を受ける。
明らかに田舎者丸出しだったがリカルドはニヤニヤしている。
「ほう‥君がメイドになりたいと‥先ずは簡単な仕事からだな。エリオット、案内しろ」
「まだ来たばかりですがよろしいのですか?」
「あぁ構わん。気に入った‥」
やや困惑する執事はメイドのいる部屋へシロを案内した。
“エリオット”
リカルドに長年仕えている執事だ。他にも数名いるのだが、実務経験と信頼においてはトップに位置する。
白髪の目立つ56歳男性だ。平民出身である。
「次は男だな‥」
扉を開けて挨拶をする。
「お会いできて光栄です、リカルド様。私は地方で執事を務めておりました。ヨウジと申します!」
左胸に手を添えて軽く会釈する。
「中々に使えそうだな‥なぁエリオット‥」
「仰せのままに」
シロを見た時とやや違う下卑た笑いを見せる‥
「執事の何たるかを教えてやれ!」
執事の集う部屋へ案内された。
そこには燕尾服を着た中年男性が二名いた。
目つきや体格は明らかにヤクザだ。こちらをジロジロと見ている‥
「新顔か‥ちょっと来い!」
言われた通りにする。
こちらには無論“秘策”がある。
「歓迎の挨拶だ!」
ご丁寧に前振りがあった。
腹パンが来るが澄ました顔で受け止める。
相手に分からない様に“撹乱”と“防御”を使った。
「なっ!?」
驚く執事とは別方向から振り上げた拳がやって来る。
「何!?」
今度は片腕で防御する。
相手に触れてから発動したのは能力を隠す為だ。
「執事ともあろう先輩方が随分と物騒ですね〜」
余裕をこきながら二人をつき飛ばす。
「隠れてないで助けて下さいよ、エリオットさん」
退出したはずのベテラン執事が扉から顔を覗かせた。
「いやはや‥通過儀礼を簡単に返すとは‥」
どうやら普通の屋敷では無いようだ。
所詮は貴族の遊びか‥
だが目的は他にある。
「これは採用ですか?」
「えぇ。リカルド様にお伝えします」
こうして無事に?リカルドに近づく事が出来た。




