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潜入

街を歩いていく。

知り合いなど居ないが問題は無い。

この世界の常識や価値観は出発前にある程度習得している。


“リンドーム”

カープル帝国の首都だ。

街の外周を囲むように白く高い壁が設けられている。

衛兵の居る大きな門を潜ると賑やかな景色が広がる。

石畳の道は綺麗に舗装され、馬車や大八車が人混みに混じってカタカタと音を立てる。


木造ばかりでなく石造りの家や銅像も目立つ。

宿屋や出店は門の入り口付近にあり、街の中心に向かうに連れて屋敷や商会と言った建物が増える。


衛兵や騎士が見回りをしている為に治安は悪く無さそうだ。先ずは宿に泊まるのが先だ。


「一週間部屋を借ります」

「はいよ!」


鍵を受け取りベットに腰掛けて貴族宛に手紙を書く。その頃シロは違う場所へ向かっていた。




“衛兵庁舎”

ここは門を抜けた少し先にある衛兵本部だ。

治安維持の為に大勢の兵士が剣や槍を持って待機している。見回りや歩哨交代などで入れ替わりが激しい。

交番のように民間人が助けを求める事も少なく無い。


「どうしたお嬢ちゃん?」


気の良い兵士がシロに声を掛けた。

「あ、あの助けてニャ!住む場所が無いニャ‥」


因みに語尾は“撹乱”で何とか誤魔化している。


「ちょっと待っててな!」


小汚いおっさんや年増女は相手にされにくいが美人に兵士は弱い。今回はそれを利用する。


「さぁさぁ、話だけでもどうぞ!」

かなりの高待遇で招かれた。





“首都教会”にて


「私は田舎町で神父をしているシャールと申します。本日は修行に参りました」


この世界では聖職者の社会的地位は高い。

祭日の取り計らいや人生相談などであらゆる階級の人々から信頼されている。


文化的な側面で面白い事がある。

地方に住む神父が更に厳しい修行を求めて首都教会にアポ無しで来ると言うものだ。

シャールはこれを利用する。


「これも神の導き‥お入り下さい」


着々と世界に溶け込む準備が出来た。




三人それぞれがリンドームに馴染み始めた頃‥


「ほう‥新たな使用人希望者か?」


「作用でございます。若い男女が一名ずつ」


「名は何と?」


「男の名はヨウジ。変わった名前です。女は‥シロ。不思議な名前ですね〜」


「外国人も珍しくは無いからな。顔だけでも見るとしようか」


「かしこまりました。明日にでも屋敷に連れて参ります」


灯油ランプがメラメラと二人の顔を照らしている‥

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