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惑星グリン

大気圏を突破した飛行艇ベアーは瞬時に透明になった。これも“撹乱”の一種である。


「さっきの撃墜は少なからずゲドーも気付いている筈だ。だが惑星内部で活動する場合は迂闊に敵も攻撃出来ない」


「何故ですか?」


「連中は惑星に住む文明に存在を知られないまま何百年もかけて侵略をする。人目さえあれば特殊能力の行使はしない筈だ」


逆に言えば誰もいない環境や視界の悪い状況では容赦ないのだろう。こちらも精一杯“対処”する。


「なんだか木が大きいニャ!」


上空からみた森は地球にある自然よりも逞しく見える。


「情報では中世ヨーロッパのような文化が根付いている。自然に対しての“畏怖”もあるようだ」


「よくあるファンタジーモノみたいですね?」


「あぁ‥だが魔法はあくまで“想像上”に過ぎない存在らしい。みてみない事には分からないがな」



低空飛行の後に着陸した。

場所は街と森の中間にある湖畔の近くだ。


「ベアーには常に撹乱機能を使う。念の為に三人以外は侵入出来ないように識別センサーも付ける」


その後は“制服”の見た目を変化させる為に特殊な装置に向かう。


シュウィーン!


レントゲン装置のような台に立ったまま光の照射を浴びる。みるみる服装が変わっていく‥


「擬装完了」

無機質な音声が響く。


「しかしすごい技術ですね〜」


シャールは神父の格好をしている。

シロは頭巾を被った貧しそうな美少女だ。

そして俺は燕尾服を着ている。


「先ずは情報を元にゲドーとの関わりが噂される貴族の屋敷に潜り込む」


「生活に慣れないといけませんね」


「ワクワクするニャ!」


「遊びじゃないぞ!」


「はい」

「ニャ!」


こうして俺たち三人は地上に降り立った。



“カープル帝国•首都リンドーム”

惑星グリンにおいて経済力•技術力•軍事力といった分野において先端をゆく国家だ。

女王を中心とした国で貴族制が敷かれている。

比較的人種差別が緩いので他国からも出稼ぎに来る人が多い。

所謂“覇権国”であり、前世で言うアメリカやイギリスのような存在だ。


「私は首都教会に潜り込んで暫く情報収集を続ける。何かあれば教会で落ち合おう!」


「分かりました。俺とシロは屋敷の下働きとして潜ります」


こうして三人には任務を開始した。

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