表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/170

第13話

 勉強会の次の日である日曜日。昼食を食べ終えた俺は、出かける準備をしていた。


「あれ?お兄ちゃん、今日も出かけるの?」


「ああ。まあな」


「最近、日曜日になると外に出てるよね?ちょっと多くない?」


 市菜の指摘を聞いた俺は、最近の日曜日を思い返してみる。……うん。確かに出かけすぎかもしれない。


 俺は日曜日の2週間に一回、美保とまるちゃんに会いに療心学園を訪れている。その事実を知らない市菜からすると、俺は出かけすぎに映るかもしれない。


「そ、そうか……?」


「うん。絶対多いよ。なにしてるのかな~?って感じ」


 だが俺は、誤魔化すことを選んだ。市菜に知られても問題ないとは思ったのだが、やはり俺だけで話すことを決めるのは違う気がする。


 当人である、美保とも話し合ってからの方がいいだろう。俺だけで話せる内容でもないし、ここは話を逸らすことにする。


「ま、まあ、確かに多いかもな……。そ、それより、この服、どうだ?」


「え?服?ま、まあ、似合ってるけど……。っていうか、新しい服だね」


「おう。昨日買ったばっかだ」


 俺が今着ているのは、昨日買ったアウターである。桜蘭には似合ってると言ってもらったが、市菜から見ても大丈夫なようだ。


「へー……。これ、お兄ちゃんが選んだの?」


「いや、桜蘭が選んでくれた」


「あー……。なるほど。だから似合ってるんだ」


 だから、とはどういう意味だろうか。まるで、普段は似合っていない服を着ているような言い方なんだが……。


「なんだよその言い方は。俺だって、桜蘭に似合ってる服を選んだが?」


「まあ、それは分かるよ」


「……市菜の中で、俺のファッションセンスはどうなってんだよ?」


 俺はつい、市菜にそう聞いてしまった。市菜の中での俺のファッションへの評価が、全く分からなかったからだ。


「お兄ちゃん、自分のファッションに関してはそこまでなのに、他人のファッションは出来るんだよね~……」


「ど、どういうことだよ?」


「私やお母さんの服選ぶ時、直感で選んでるんでしょ?その直感がいいんだろうね。でもその直感は、自分の服を選ぶ時は発動しないみたい」


「な、なんだよそれ……」


 マジでどうなってるんだろうか、俺の直観は。俺の服を選ぶ時もちゃんとでればいいのに。


「ま、私とお母さんは助かってるけどね!お兄ちゃんの直観!それに、今日のはほんとに似合ってるから、そのままでいいと思う!」


「そ、そうか……。ありがと、な……」


 俺は複雑な気持ちになりながら、市菜にそう返すことしか出来なかった。俺は少し肩を落とし、玄関へと向かう。


「じゃあ、行ってくる……。晩御飯までには帰ってくるから」


「うん。りょーかい。行ってらっしゃい。お兄ちゃん」


「ああ。行ってきます」


 俺が靴を履いてから市菜にそう言うと、市菜は手を振って俺を見送ってくれる。俺はそんな市菜に手を振り返し、療心学園へと向かいだした。


読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ