第12話
「ありがとうございましたー!」
俺は店員のそんな礼を背に受けながら、レジを後にした。そしてその店の入り口で、まだ会計をしている桜蘭を待つ。
結局、俺が買ったのは桜蘭に選んでもらった1着だけだった。その服は、上から羽織る薄い黒色のアウターである。
これなら、これからの季節でも使えるはずだ。夏になっても着ることができると思うったので、買わせてもらった。
試着しても問題なかったし、これからよく着ていくことになりそうだ。まあ、秋になったら流石に寒いかもしれないが。
桜蘭は俺とは比にならないような数を試着して選別していたので、会計を終えるまでもう少しかかるだろう。そう思った俺は、スマートフォンを取り出して現在時刻を確認した。
現在、もう18時になろうとしている。時間的にももう帰った方がいいだろうし、桜蘭が来たら解散を提案しよう。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
「いや、大丈夫だ。それより……」
俺はそう言ってから、桜蘭が買った服が入っている袋を見る。その袋は、俺が持つ袋よりも相当大きいものだった。
「け、結構買ったな……」
「うん!いい買い物ができたよ!信護君は、本当にそれだけでよかったの?」
「ああ。これが気に入ったし、他に買いたい!って思えるものがなかったしな。それに、せっかく桜蘭が選んでくれたんだから」
俺が桜蘭にそう言うと、桜蘭は目を見開いてから頬を赤く染めた。そして、頬をかきながら微笑む。
「え、えへへ。そう言ってもらえて嬉しい、な……。ぼ、僕も、信護君に選んでもらった服、とっても気に入ってるよ」
「お、そうなのか?ならよかった」
桜蘭がそう言ってくれるという事は、俺の直観は間違っていなかったということだろう。もしかしたら、割とファッションセンスがあるのかもしれない。
今度、市菜に聞いてみよう。いつも俺と顔を合わせている市菜なら、俺のファッションセンスがどうなのか分かるだろう。
「うん……。ほんとにありがとね、信護君」
「こっちこそだよ。じゃあ、そろそろ帰るか。時間も時間だし」
「そうだね。行こっか」
俺の提案に頷いてくれた桜蘭と共に、俺はその場から歩き出す。しばらく歩いていると、桜蘭が話しかけてきた。
「……今日、ほんとに楽しかったよ。ありがとう、信護君」
「ああ。俺も、楽しかったぜ」
「また、遊ぼうね。2人で……」
俺が桜蘭の言葉に頷くと、桜蘭がそう言いながら俺の手を握ってきた。俺はその桜蘭の手を握り返してから、返事をする。
「もちろん。桜蘭と遊ぶのは、楽しいからな」
「……うんっ!」
俺の返事を聞いた桜蘭は、笑顔をみせながら頷いてくれる。今日の桜蘭との遊びは、面白いことばかりだった。
カップルに間違えられることもそうだが、初めての経験もあっていい1日になったと思う。だからこそ、桜蘭という友達とまた遊びたいと思ったのだ。
テストも少しずつ近づいてきていることを考えると、次に遊べるのはその後だろうか。そんな次の遊びを楽しみにしつつ、俺と桜蘭はお互いに笑顔のまま歩き続けた。
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