表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/170

第11話

 プリクラコーナーから去った俺と桜蘭は、服屋に来ていた。なんでも、桜蘭が新しい服を買いたかったそうだ。


 俺としても、そろそろ新しい服を買っておいた方がいいか、と思っていたので、桜蘭の提案は好都合だった。俺と桜蘭は並んで服屋の中を歩き、服を物色中だ。


「あ、これ……」


 すると桜蘭が、1つの服を手に取った。そしてそれを、俺に見せてくる。


「これ、どうかな信護君?似合いそう?」


「ん?ああ。似合うんじゃないか?多分」


 俺はそう答えることしか出来なかったが、実際に着れば似合うと思う。桜蘭が見せてきたのはパーカーだったのだが、桜蘭が着ているところを想像すると似合っているとしか思えない。


「えへへ。そっか。じゃあ……」


 俺の返答を聞いた桜蘭は、笑いながらそのパーカーを買い物かごの中に入れた。購入決定ということなのだろうか。


「試着しなくて大丈夫なのか?」


「後でするよ。先に色々と見てから、まとめて試着するんだ」


「なるほど。結構買うつもりなんだな」


 まとめて買うという事は、1着だけ買うという事ではないのだろう。桜蘭はどれぐらい買うつもりなのだろうか。


「うん。欲しいな、って思ったら買おうかなって。お金も持ってきてるし。……あ、これもいいかも」


「お、おお……」


 そうやって買い物を楽しむ桜蘭を、俺は見ていることしかできない。この様子だと、結構買うつもりなのだろう。


 対して俺は、そこまで買うつもりはない。合うのがあったら買ってみるか程度である。


 桜蘭は買い物を楽しんでいるんだし、俺も俺の服を探すようにしよう。そう思った俺であったが、1つの服に目がいった。


 その服は俺に似合いそうなものではなく、桜蘭に似合いそうな、少し可愛らしい服だった。俺はその服を手に取って、桜蘭に見せる。


「これ、どうだ?」


「え、信護君が、それを?うーん……」


「いや、桜蘭に」


「えっ?ぼ、僕?」


 最初見せた時は難色を示していた桜蘭だったが、俺が桜蘭に選んだのだと言ったら驚いていた。そしてその後、俺が持ってきた服をチラリと見て、すぐに頷く。


「うん。ありがとう」


「だ、大丈夫そうか?ほとんど直観で選んだんだが……」


「大丈夫だよ。僕も気に入ったもん。それに、信護君が選んでくれたんだから」


 桜蘭は俺が選んだ服をかごに入れて、そう笑顔で言ってきた。そう言ってくれると、選んだ俺としても嬉しく思う。


「あっ!信護君が僕の服を選んでくれたんだから、今度は僕が信護君のを選ぶね!」


「え?いや、別にそんなことしなくても……」


「信護君は、どんなのが似合うかな~?」


 俺としては、桜蘭に似合いそうという直感で選んで渡しただけなので気にしなくてもいいのだが、桜蘭はもう選び始めている。まあ、自分で服を選ぶのはそこまで得意ではないので、選んでくれるのは助かるのだが……。


 桜蘭も楽しそうに選んでいるので、気にせずに選んでもらうことにしよう。そう思った俺は、俺に似合う服を探す桜蘭に付いて行った。


読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ