第67話
会場に着いた俺たちは、それぞれの配置に着く。組対抗リレーは一人半周を走ることになっているので、俺の後ろには勝がいた。
ちなみに、美保と照花は反対側だ。というより、男女別に分かれているともいえる。
「……美保のやつ、大丈夫か?さっきのもあって、集中しきれてないんじゃ……」
「かもな……。照花のことも考えると、後で言った方が良かったか……」
俺は美保と照花の方を見て、再度後悔した。勝から見ても、美保は不安そうに見えるのだろうか。
「照花は多分、大丈夫だ。俺も照花も、実際に話すわけじゃないからな。やっぱ、当事者の美保は不安に感じるんじゃないか?」
「そうか……。大丈夫だと思うんだがな……」
「それは思うが……。やっぱ、不安なもんは不安なんだろ。信護には分かんねえことだけどよ」
「俺には分かんねえって、マジでどういう意味なんだよ……」
最近よく言われるようになったが、俺には分からないとは本当にどういうことなのだろうか。まあ実際、分かっていないのだが……。
「気にすんなよ。取り合えず俺らは、組対抗リレーに集中な。ほら、もうすぐ始まるぞ」
勝がそう言い終えると、丁度アナウンスが入った。スタートは1年生からだ。
1番手の1年生の女子が、1列に並んでいく。全員が並び終えると、またアナウンスが入った。
『それではこれより、組対抗リレーを開始します。位置について……よーい』
その合図に、1列に並んだ1年生の女子たちが、スタートの準備をする。パンッ、という合図と共に、その女子たちが走り出した。
その女子たちから男子たちに渡り、また女子へと渡っていく。1年生だけでも相当なクラス数があるので、俺たちに回ってくるまでかなりの時間がある。
それも、中高一貫コースの俺たちは、クラスの番号が遅い。つまり、2年生の中でも後ろの方で走ることになるのだ。
それでもその先には、まだ3年生が残っている。俺たちが走り終えても、まだまだ先はあるのだ。
今は、1年生の中間あたりだろうか。現在の順位は、青組、赤組、緑組、黄色組の順番だ。
この時点での順位はほとんど参考にならない。まだ序盤も序盤だ。
組対抗リレーはこのまま順調に進んで行く。そのまま1年生が終わり、2年生へと突入していった。
「まだあるけど、そろそろ心の準備しとかないとな」
「ああ。1位で回そうぜ」
「それはどの順位で回ってくるかによるけどなっ!」
「ははっ!間違いない」
だが、レースを見ている感じ、いい順位で回ってきそうだ。1位を取りにいくのか、守りにいくのかは分からないが、やるべきことは変わらない。
ただ、トップになるために全力で走るだけ。俺は気持ちを入れて、レースの行く末を見守った。
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