第17話
昼食を食べ終えた俺たちは、映画館へと移動していた。そろそろ、劇場が開場される時間だ。
だが、その前に買わなければいけないものがある。ポップコーンとドリンクだ。
「ポップコーンとドリンク、ペアのやつ買ったらちょっと安いよな。それで割り勘しねえ?」
「いいじゃん。そうしよ」
勝の提案に、高畑が賛成する。俺も安くなるなるなら大歓迎だが……。
「それ、先に席決めないといけないよな?ペア変わるし」
「そうだね。くじ引きみたいな感じでいいんじゃないかな?」
俺が席について指摘すると、斎藤が席の決め方を提案してくれた。別に席にこだわりはないし、俺はそれでいいと思う。
「うん。僕はそれでいいよ?」
「それじゃあ、チケット出して~。柴田君!」
「おう。さ、好きに選べ。俺は残ったのでいいぜ」
勝がそう言ったので、1人1枚ずつ選んでいく。席は中段、真ん中の通路側の端の席から右に6席取っておいた。
正直どの席になってもいい。そう思った俺は、勝が差し出したチケットの中から適当に選んだ。
俺の席は、通路側の端の席の隣の席だった。つまり俺は、端の席に座った人とペアということになる。
「皆、どの席だった?私は通路側の席だったよ」
「お、マジ?じゃあ俺とだな」
俺の左隣の席を引いて俺とペアになったのは、斎藤だった。他のペアを見てみると、俺の右隣が高畑で桜蘭とペア。桜蘭の隣が羽木で、勝とペアだった。
そのペアごとに、ポップコーンとドリンクを買いに行く。俺はポップコーンはキャラメルで、ドリンクはコーラと決まっているが、斎藤はどうだろうか。
「なあ。斎藤はポップコーンとドリンク、どれにするか決まってるか?」
「うん。キャラメルとコーラ以外ありえないよ」
「なんだ。一緒かよ。やっぱその組み合わせだよな」
「あ、小田君もそうなんだ。この組み合わせが一番いいよね」
斎藤も俺と同じ組み合わせ、同士だったみたいだ。仲間ができたようで、少し嬉しく感じる。
「お待たせいたしました。ご注文お伺いします」
「あ、はい。えっと、ポップコーンペアセット一つください」
「はい。ポップコーンとドリンクをお選びください」
「ポップコーンはキャラメル、ドリンクは2本ともコーラで」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店員がそう言って準備に走る。チラリと周りを見ると、勝たちはすでに買い終えていた。
勝と羽木は塩のポップコーン、桜蘭と高畑は塩&キャラメルのハーフ&ハーフだった。勝が塩好き、桜蘭がキャラメル好きであることは知っている。
つまり、高畑と羽木は塩派ということだろう。桜蘭は炭酸が苦手だし、好みがあっているのは斎藤しかいないようだ。
「お待たせしました。ポップコーンペアセットのキャラメルとコーラです」
「ありがとうございます」
「ありがとうございました。またお越しくださいませ。次の方どうぞ~!」
俺が店員にお礼を言うと、店員さんもまた礼を言ってくれる。俺はポップコーンペアセットを持って、斎藤と一緒に皆の所に向かった。
『ご案内いたします。14時から上映開始の映画の入場を、まもなく開始いたします』
「お、開始だってよ。丁度信護たちも来たし、行こうぜ」
そのアナウンスを聞いて、勝がそう声をかけてくれた。俺たちは勝の言葉に頷いて、入場ゲートへと向かう。
「チケット拝見いたします。……はい。どうぞ」
俺たちは朝に買っていたチケットを出して、劇場の中へと入る。そして、予約していた席へと向かった。
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