第4話
特急ひだがゆっくりと減速し始める。約二時間の道のりを経て、高山まで辿り着いたのだ。
「う~ん!やっと着いたね~!」
「そうだな。そろそろ荷物をまとめておくか」
俺がそう言うと、橋本も頷いて自分の荷物をまとめ始める。俺も飴を鞄の中に直して、電車から出る準備を進めた。
そして各々が荷物をまとめ終えたころ、丁度電車が高山駅のホームに停車した。それによって俺たち文芸部は立ち上がり、特急ひだから出る為に歩き出す。
特急ひだから出て、無事に高山駅のホームに降り立つ。すると、黒岩先輩が人数の確認をし始めた。
「……よし。全員いるな」
「では、行くとしようか。私と黒岩はエレベーターで向かう。改札前で集合としよう」
生駒先輩がそう言うと、黒岩先輩と生駒先輩エレベーターに向かって進みだした。生駒先輩と黒岩先輩を見送った俺は、残った部員に話し始める。
「……じゃあ、俺たちも向かおう。ついて来てくれ」
俺がそう言って歩き出すと、隣に橋本が来る。そしてその後ろから、河合と今野と細川がついてくる。
三年生の二人が別の方法で改札まで向かうので、ここでは二年生の俺たちがまとめなければいけない。特に、一年生は初めての合宿なのだから。
エスカレーターを上り終えた俺たちだったが、生駒先輩と黒岩先輩の姿が見当たらない。どうやら、エレベーターが混んでいるようだ。
「生駒先輩と黒岩先輩はまだ来てないみたいだし、先にお手洗い行きたい奴は行っといていいぞー」
俺がそう言うと、後輩二人と河合は頷いてからトイレに向かう。俺は行く必要がなかったので、生駒先輩と黒岩先輩を待つことにした。
「ねえねえ小田君~。これから、歩いて旅館に行くんだよね~?」
「ああ。そうだな。確か、歩いて15分ぐらいだったか」
今回の合宿で泊まるのは、高山駅から割と近くにある旅館である。男女一部屋ずつで、和室の部屋らしい。
この後は旅館に行って荷物を預けてから、自由行動である。まあ、昼食も兼ねてといったところだ。
「すまない。待たせてしまったようだな」
「あ、生駒先輩に黒岩先輩。いえ、大丈夫ですよ」
橋本と話していると、エレベーターから生駒先輩と黒岩先輩が現れて話しかけてきた。すると、黒岩先輩が周りを見渡し始める。
「……他の皆はどうした?」
「あ~、それなら~。お手洗いに行ってますよ~」
「そうか」
黒岩先輩の質問に橋本が答えると、黒岩先輩は納得したように頷いた。すると丁度その時に、河合と細川が戻ってくる。
「お、戻ってきたか」
「ああ。もしかして待たせたか?」
「いや、生駒先輩と黒岩先輩も今来たところだ」
「生駒先輩と黒岩先輩は行かなくて大丈夫ですか?」
「ああ。問題ない」
「俺もだ」
俺が河合の問いにそう返すと、細川が生駒先輩と黒岩先輩に問いかけていた。そんな問いに、二人は頷いて返事をした。
「す、すいません!待たせちゃって……!」
「ああ。大丈夫だ」
すると、今野も俺たちの所まで戻ってきた。これでまた、文芸部員の全員がそろったことになる。
「よし。そろったな。では、旅館に向かうとしよう」
生駒先輩がそう言って、黒岩先輩と共に改札へと向かう。俺たちもまた、その後に続いて歩き出した。
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