表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/170

第16話

 ボーリングを終えた俺たちは、フードコートで昼食をとっていた。フードコートなので、各々好きな店で食べたいものを食べている。


 俺はフードコートの中にあったトンカツ屋で、ヒレカツ定食を買った。ご飯に味噌汁、漬物も付いた定食だ。


 俺はヒレカツを箸で挟んで、口へと運ぶ。このヒレカツはサクサクで、とても美味かった。しかも、勝負ごとに勝った後だから、なお。


「……幸せそうだね~」


「おう。勝った後だからな」


 俺がそう返すと、むー、と頬を膨らませて不満そうに俺を見て来た。悔しい気持ちを表しているのだとは分かるが、斎藤がそれをやるととても魅力的に見える。


 俺は皆に気付かれないように、斎藤からサッと視線を逸らす。照れているのをバレたくなかったからだ。


「はあ……。もうちょっとだったのになぁ……」


 斎藤はそう言って、自分で買ったうどんを啜る。実際、スコアは僅差だった。だが、最後の最後で俺がストライクをとって勝ったのだ。


 本当にギリギリ勝った、という感じだ。俺としては楽しかったし、またやりたいと思えた。


「斎藤さんもすごかったよ?また、二人のボーリング見てみたいなぁ」


「うんうん!柴田君もなかなかだったけどね!」


「ははっ。あの二人には敵わねえよ」


 蕎麦を食べる桜蘭の言葉に、ちゃんぽんを食べる羽木が同意して勝も追加で褒める。褒められた勝は笑ってそう反応した。


 勝のスコアは俺と斎藤には及ばないものの、俺と斎藤以外では最も高いスコアだった。そんな勝は、ラーメンを食べている。


「小田も美保も、ボーリング好きなの?」


 高畑がヒレカツを食べながら、そう尋ねて来た。高畑は俺と全く同じものを選んでいる。


「ああ。まあ、好きだな」


「うん。好きだね」


「ふーん……。じゃ、また皆で行こ。アタシも楽しかったし」


 高畑がそう提案すると、俺たちの間に笑みが広がる。俺も楽しかったし、また皆とやりたい。他の皆も、そう思ってくれているのだろうか。


「ああ。そうだな」


「そうだね。また行きたいよ」


「その時には、また勝負するのかな?信護君と斎藤さん」


 俺と斎藤が高畑の言葉に同意すると、桜蘭がそう言った。それに対して、羽木が反応する。


「次は美保ちゃんが勝つ方に賭けるよ!」


「お、じゃあ俺は信護に賭けるぜ?」


 羽木が斎藤に賭けるというと、勝が俺に賭けてきた。もちろん、俺は次も負けるつもりはない。


「あはは。照花ちゃんに応援されてるし、次は勝ちたいな」


「俺ももちろん、また勝ちたいさ。……よし。ご馳走様」


 俺は手を合わせて、そう言った。見ると、俺以外の人たちはまだ食べ終わっていない。


 だが、俺以外の人たちももうすぐ食べ終えそうだ。俺は席を立ち、お盆を持って返しに行く。


 席を取った映画の時間まで、後30分ほどだ。移動するには、そろそろいい時間だ。


 皆となら、映画を見ても楽しいだろう。俺はそう思いながらお盆を返し、その皆の元へと戻っていった。


読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ