第55話
岐阜公園に辿り着いた俺は、公園内を必死に探し回る。公園は結構広いので、探すのには苦労しそうだ。
「くそっ……!いないな……!」
岐阜公園内を探し回っているが、一向に見つからない。もう半分ほど回ってしまったが、純也君はどこにもいなかった。
俺は諦めることなく、岐阜公園内で探し続ける。すると俺は、金華山ロープウェイの建物の傍まで来ていた。
「……あの、大丈夫ですか?」
「は、はい?」
俺が純也君を探す為にキョロキョロとしていると、見知らぬ女子生徒が声をかけてきた。その女子が来ている制服は、少なくとも俺の学校のものではない。
確かこの制服は、女子高の制服だったはずだ。俺は声をかけられたことに動揺しながらも、反応を返す。
「その、困ってるみたいだったので。落とし物か何かを、探してるんですか?」
「あー……。ま、迷子というか、何というか……。取り合えず、ある人を探してるんです」
正直時間が惜しいが、もしかしたら協力してくれるかもしれないので、俺はそう返した。それを聞いた女子は、少し考える素振りを見せてから頷いてくれる。
「そうなんですか。……分かりました。私も一緒に探しますよ」
「ほ、本当ですか!?助かります!」
本当に協力してくれることに驚いた俺は、頭を下げてお礼を伝える。するとその女子は微笑みを浮かべてから、俺に問いかけてきた。
「ふふっ。それで、どんな人を探してるんですか?」
「ああ……。その、小学生の男の子なんですけど……」
「小学生の男の子、ですか?」
俺が純也君の事をそう告げると、その女子が首を傾げてきた。確かにこれだけでは、判別が出来ないだろう。
「後は、1人でいると思います。俺が見たら分かるんで、それっぽい人がいれば言ってくれれば……」
「なるほど。分かりました。では、早速探しますか?」
「お願いします」
俺は再度女子に頭を下げてから、その女子と共に純也君探しを再開する。俺たちはまず、金華山ロープウェイの周りを探し始めた。
だが、見渡す限り純也君の姿は見当たらない。小学生らしき子の姿はあっても、大体が家族連れか友達たちと一緒にいて、1人の子はいなかった。
「……いませんね」
「そう、ですね……。次に行きましょうか」
俺はこの場所にいないことを確認してから、次の場所へと向かおうとする。だが、そんな俺をその女子が引き留めてきた。
「すいません。少し待ってください。私も、待っている人がいまして……」
「そ、そうなんですか?」
「はい。もうすぐ戻ってくると思うんですが……」
「悪い。待たせたか?」
俺と女子がそう話していると、女子にそう声をかけてきた男がいた。その声は、俺が聞いたことがある声でもあった。
俺がその方向を向くと、そこには俺がよく知っている人物がいた。俺はその人物に、声を震わせながら名前を呼ぶ。
「利、光……?」
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