第51話
俺たちはカラオケルームのドアを開いて、部屋の中へと入った。そして各々荷物を置いて、ソファーに腰かける。
「よっしゃ!誰から歌う!?」
「それより前に、ドリンクを取ってくるよ。ここ、ドリンクバーだろ?何がいい?」
「取ってきてくれるん?じゃあ、メロンソーダで」
「私はコーラをお願いしようかな!」
俺がどのドリンクがいいか聞くと、心南と照花がそう言ってくる。元々取ってくるつもりだったし、何の問題もない。
「じゃあ、僕も信護君に付いて行くよ。2人は何がいいのかな?」
桜蘭は俺に付いて来てくれるらしい。人数分のドリンクを運ぶなら、確かにもう1人ぐらい来てほしいところだった。
「あー……。じゃあ、ジンジャーエールを頼むわ」
「悪いな!俺もジンジャーエールで!」
桜蘭の問いに、勝と秀明が申し訳なさそうな顔でそう答えた。全員分のドリンクを覚えた俺と桜蘭は、ドリンクを取りに行くためにこの部屋のドアに手をかける。
「じゃあ、取ってくる。先に歌っといてくれていいぞ」
「おーう!」
俺がそう言うと、秀明が返事をしてくれた。俺はこの部屋のドアを開いて、桜蘭と共に廊下へと出る。
ドリンクコーナーは1階にも2階にもあるので、2階のドリンクバーへと向かう。部屋からはそこまで離れておらず、手軽に来れる距離だった。
「ジンジャーエール2つと、メロンソーダにコーラで合ってるよね?」
「ああ。お前はどのドリンクにするんだ?」
ドリンクバーの前まで来た俺と桜蘭は、まず勝たちのドリンクを入れていく。そうしながら、俺は桜蘭にそう問いかけた。
「うーん……。僕は、白ぶどうにしようかな。信護君は?」
「俺はコーラだな」
勝たちのドリンクは全て注ぎ終えたので、俺と桜蘭の分のドリンクを注いでいく。全員分のドリンクを注ぎ終えた俺と桜蘭は、それぞれ分担してドリンクを持った。
俺が照花と心南の分、桜蘭が勝と秀明の分だ。自分の分はもちろん、自分で持っている。
俺と桜蘭がカラオケルームに戻ると、すでに秀明が歌い始めていた。俺は照花と心南の前に、それぞれのドリンクを置く。
「ありがとー!信護君!」
「ありがと、信護」
「おう。それで、曲はどこまで入ってる?」
俺は照花と心南からのお礼を受け取り、誰まで曲を入れてあるのかを聞いた。すると、桜蘭からドリンクを受け取った勝が、説明をしてくれる。
「信護と桜蘭以外は、もう入れたぜ。後はお前らだけだな」
「そうか。じゃあ、先に入れてくれていいぜ。桜蘭」
「なら、入れさせてもらおうかな」
俺は先に、桜蘭に曲を入れてもらう。桜蘭はすぐに曲を選び終え、俺に曲を入れるタブレットを渡してきた。
「はい、どうぞ。信護君」
「おう。ありがとな、桜蘭」
俺がそれを受け取って曲を選ぼうとした時、俺のスマートフォンが鳴った。どうやら、電話がかかってきたようだ。
俺はスマートフォンを取り出して、その相手を確認する。そして俺は、その相手の名前を見て、目を見開いてしまった。
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