第49話
「……はい!解答用紙を前に回してね~!」
テストが終わり、俺も皆と同じように解答用紙を前に渡していく。これで、約1週間かかったテストがようやく終了した。
このテスト期間で勉強してきた成果は、全部出せたと思う。正直、赤点はないと思うし、結構いい点数が取れたのではないだろうか。
「……うん!お疲れ様!一旦職員室に戻ってから、またホームルームにするね~!」
先生がそう言って出ていくと、皆が各々しゃべり始めた。俺もまた全てのテストを終えた達成感で、体を思いっきり伸ばす。
「やっと終わった~……。テストどうだった?信護~……」
すると、隣の席に座る心南が、俺に話しかけてきた。俺は伸びるのをやめて、心南に返事をする。
「ああ。今日のも、割と解けたと思う」
「じゃあ、全部いけてるじゃん。ま、アタシも結構できたと思うけど……」
「まあ、何にせよ、これで1学期の期末テストは終わりだな」
「やっと、夏休みだし!」
俺が期末テストが終わったことを告げると、心南は夏休みが始まることを言ってきた。俺もその事実に、少しテンションが上がる。
「そうだな。やっと遊べるし……」
やっと、療心学園に行ける。それは口から出すことはなかったが、俺が心から思ったことであった。
俺がそんなことを思っていると、俺と心南の周りに勉強会に参加したメンバーが集まってきた。もちろんその中には、療心学園に住む美保の姿もある。
「お疲れ~!」
「やっと終わったな。この地獄のような期間が……」
「マジでそれな……」
まずは照花が元気よくそう言ってきて、勝と秀明がそれに続いた。勝と秀明の声は、そこまで元気には聞こえない。
やはり、疲れているのだろう。点数が取れなかったから、ではないと思いたい……。
「……お前ら、点数はちゃんと取れたんだろうな?」
利光が目つきを鋭くしながら2人にそう問うと、2人は何度も頷いてみせた。どうやら、いつもよりは取れた実感があるらしい。
「あはは。よかったね、2人とも」
「桜蘭は取れたのか?点数」
「うん。バッチリだよ」
桜蘭が笑いながらそう言うので、俺は桜蘭に点数を取れたのかを問う。すると、桜蘭から笑顔でそういう返答がきた。
桜蘭も、納得のいくテストになったようだ。すると心南がある提案をしてくる。
「……そうだ。テストも終わったし、皆で遊び行こ?」
「いいね!行こ行こー!」
そんな心南の提案にすぐに頷いたのは、照花だった。だが、美保が首を横に振って行けないことを告げる。
「ごめん。私はいけない、かな」
「そっかー……。男子陣はどう?」
美保の返事に肩を落とした照花であったが、すぐに俺たちに問いかけてくる。俺は問題ないので頷きを返したが、利光は首を横に振った。
「悪いが、予定が入ってる。俺も行けそうにない」
「俺は行けるぜー!勝もだよな!?」
「おう!もうテストも終わったんだしな!」
利光の不参加にまた肩を落とした照花であったが、秀明と勝が行けることを言うとパッと顔を明るくさせる。そしてその顔を、俺と桜蘭に向けてきた。
「……俺も行けるぞ」
「うん。僕も行けるよ」
「じゃ、行けるメンバーだけで行こ。放課後、そのままね」
俺と桜蘭も行けることを表明すると、心南がそう言ってきた。そんな心南の言葉に、行けるメンバーが頷く。
テスト終わり直後の遊びほど、解放感がある遊びはないのではないだろうか。美保と利光は用事があるので仕方がないが、テスト終わり直後の遊びを楽しもうと思う。
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