第48話
時間はあっという間に過ぎていき、ついに期末テストが始まる日になった。俺は扉を開き、自らのクラスの教室に入っていく。
俺はため息を吐きながら、自分の席に着く。すると、心南が俺に話しかけてきた。
「信護ー……。ついにテスト、だね……」
「ああ……。本当にな……」
「どう?勉強は」
心南がしてきた質問に、俺は一瞬考える。俺としては、できる限りの勉強をしてきたつもりだ。
少なくとも、赤点を取ることはないだろう。まあ、テストでは何が起こるか分からないので気は抜けないが……。
「まあ、してきたつもりだ。心南はどうなんだ?」
「んー……。ま、結構してきたと思うけど……」
「不安は不安、だよな……」
俺がそう言うと、心南は深く頷いてくれた。やはり、余程の余裕がない限り、不安に感じるようだ。
俺ももちろん不安だ。用語のど忘れもあるかもしれないし、計算ミスなども怖いものの1つだ。
「……もうテスト直前だけど、最後にもうちょっと勉強するか」
「最後の確認?……アタシもしとこ」
俺と心南は話しを中断して、それぞれ勉強道具を出した。そして、最後の確認をしていく。
人によってはこの時間が、最後のあがきの時間になったりするのだろう。前までの勝と秀明がいい例といえる。
だが、今回の勝と秀明は違う……と、思いたい。勉強会もしたことだし、前よりは勉強してきている……と、思う。
現に今もそうして必死に教科書やノートをめくっているし……。……必死じゃだめじゃね?
ま、まあ、2人を信じることにしよう。どのみち、あの2人に俺が今更できることは、もうないだろう。
俺が自分の勉強に戻ろうとすると、美保が教室に入ってきた。俺と心南はそんな美保に、挨拶をする。
「おはよう美保。頑張ろうな」
「おはよ。美保」
「うん。おはよう信護君、心南ちゃん。テスト、頑張ろうね」
俺と心南の挨拶に、美保も挨拶を返してくれる。美保は手を振って、自分の席へと向かっていく。
俺も美保に手を振り返して、勉強に戻った。可能ならまるちゃんに妃奈子ちゃん、純也君たちの様子も聞きたいところだが、この教室では聞けない。
それにテストもあるし、美保の勉強を邪魔するのも気が引ける。ここは流石に、俺もテストに集中した方がいいだろう。
「はーい!皆、席についてね~!」
すると、先生が教室に入ってきた。皆席に戻るが、自分の席で勉強を続ける。
やはり、皆最後まで勉強をしたいようだ。それだけ、テストの前は不安に感じるものなのだ。
先生が教壇に立ち、話し始めた。ついに、これまで勉強してきた目的である、期末テストが始まる。
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