第45話
翌日の月曜日の放課後。俺は文芸部の部室まで足を進めていた。昨日生駒先輩からきた連絡は、明日部室まで来て欲しいとのことだったからだ。
テスト期間に入ると部活が出来なくなるので、今日やっておきたかったのだろう。夏休みの間に関しての、大事な話だから。
俺が文芸部の部室の扉を開けると、そこにはすでに生駒先輩がいた。俺に気付いた生駒先輩は、車椅子に座ったまま俺に声をかけてくる。
「やあ小田後輩。よく来てくれた」
「……他の部員は、まだですか?」
俺が部室を見渡しても、俺と生駒先輩以外の部員は見当たらなかったので、俺は生駒先輩にそう尋ねた。生駒先輩は俺のそんな問いに対して、首を縦に振る。
「ああ。そのようだ。だが、全員集まってくれるはずだ。そこまで人数が多いわけじゃないしな」
「まあ、そうですけど……」
「お待たせしました~!あ、あれ!?まだお二人だけですか!?」
俺と生駒先輩が話していると、今野が部室に入ってきた。俺と生駒先輩はそんな今野に、挨拶を返す。
「おう。お疲れ今野。まだ俺たち以外、誰も来てないぞ」
「よく来たな。今野後輩。共に他の部員を待つとしようか。2人とも、座るといい」
俺と今野は生駒先輩の言葉に従い、近くにあった椅子に腰かける。必然的に、俺と今野の席は隣になった。
「えっと、それで……。今日は、どんな用件なんですか?」
「ああ。そっか。今野は1年生だから、初めてだったな」
ある程度予測できていた俺とは違い、今野は見当もつかなかったようだ。確かに連絡では何の話をするのか告げられていなかったし、仕方ないだろう。
「ふむ……。全員集まってから話すつもりだったが、教えるとしよう。今日は、夏合宿の確認の話だ」
「夏合宿の確認、ですか?」
「おう。文芸部が毎年、夏合宿をしているのは知ってるよな?」
「は、はい。もちろんです」
俺が生駒先輩の後を受けて説明すると、今野が頷いてくれる。俺はその頷きを見てから、続きを話した。
「その集合場所とか、時間とか。それら全部をまとめたしおりを、今日配るんだよ」
「な、なるほど……!」
俺の説明を全て聞き終えた今野は、納得してくれたようだ。夏合宿の場所や宿泊先などは、すでに決まっている。
その決まったことを確認する日が、今日なのだ。だからこそ、この夏合宿に参加する部員全員が集まらなければいけないのだが……。
「……というか、皆遅くないですか?」
「まあ、もうすぐ来ることだろう。……噂をすれば、だ」
俺が生駒先輩に声をかけると、生駒先輩はそう声を返してくれる。生駒先輩が言い終えた瞬間、文芸部の部室の扉が開いた。
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