表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/170

第12話

 まるちゃんとの再会を終えた俺は、療心学園から出て帰路についていた。そんな俺の隣には、俺の妻(仮)になった斎藤がいる。


 なぜ斎藤が俺に付いて来ているのかというと、俺が帰る時に斎藤も外に出る用があったらしく、一緒に療心学園から出たのだ。ちなみにその時、まるちゃんと長井さんが見送ってくれたのだが、長井さんはめちゃくちゃニヤニヤしていたことだけいっておこう。


 そして、向かう方向も同じだったので、こうして並んで歩いているというわけだ。俺としても、斎藤には聞きたいことがあったので、この状況は願ったり叶ったりだ。


「……なあ斎藤。ちょっといいか?」


「う、うん。いいけど……。どうしたの?」


 俺は療心学園を出て少し歩いてから、斎藤に話しかけた。ここまでくれば、療心学園の人はいないはずだ。


「その、斎藤ってさ、彼氏いるんじゃないのか……?」


「えっ……!?」


 俺がそう聞くと、斎藤は驚いて俺の方を向いてきた。この反応からして、間違いなく斎藤には彼氏がいるのだろう。


 俺にはそれを前提にした上で、斎藤に聞きたいことがあるのだ。具体的には、まるちゃん関係のことである。


「やっぱりいるんだな。その上で聞きたいんだが、パパ、ママとか呼ばれて大丈夫なのか……?」


「う、うーん……。まあ、知られなければ、大丈夫かな……?」


「えっ。そ、それでいいのか?」


 まさかの返しに、俺は驚いてしまう。だ、だってそれ、浮気はバレなきゃセーフみたいな感じじゃ……?


「ま、まあ、私はまだ好きかどうか分からない状態で付き合ってる、みたいな感じだし……」


「そ、そうなのか……。ならなんで、付き合おうと思ったんだ?」


「……彼、どこかで会った気がするの。名前を聞いた時も、聞いたことがある気がして……」


「そ、それだけで……?」


 俺がそう斎藤に尋ねると、斎藤は首を横に振った。どうやら、それだけで付き合うことにしたわけではないようだ。


「ううん。その、彼から告白してきたんだけど、これから知っていきたいって返したの。そしたら、付き合ってることになっちゃって……。嫌、ってわけではないんだけどね……」


「な、なるほど……?ま、まあつまり、バレなければいいんだな?」


 これ以上聞いても分からないなと思った俺は、ここで話をぶった切る。思ったよりもややこしそうだし、これ以上踏み込むべきではないと思ったからだ。


「う、うん。それより、小田君こそ大丈夫なの?パパ、ママって呼ばれて」


「おう。何の問題もねえよ。彼女もいないし」


「彼女……?……あっ」


「うん?どうした?」


 俺がそう答えると、斎藤が何かを思い出したかのような反応をした。それが気になった俺は、斎藤に聞き返す。


「な、なんでもないよ!絶対、バレないようにしなきゃ……。学校で、この話をするのは禁止ね!」


「お、おう。当たり前だ」


 斎藤はそのことを言うことなく、話をそらしてきた。俺は別に追及するつもりはなかったので、その話にのっておく。


「じゃあ、これからよろしくね?小田君。まるちゃんのパパとして」


「ああ。よろしく斎藤。まるちゃんのママとして。これで俺たちは、偽の家族だ」


 俺と斎藤は握手をして、まるちゃんのために親になることを確認し合う。ここから、俺、斎藤、まるちゃんの、疑似家族関係が始まったのだった。


読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ