第24話
時は流れて、来週の土曜日。今はもうホームルームも終わり、各々が学校から帰ろうとしているところだ。
俺も荷物はまとめ終えており、勝たちが俺の席まで来るのを待っている。今日もこの後、勉強会をする予定だからだ。
「し、信護。ちょっといい?」
「ん?ああ。なんだ?心南?」
勝たちを待っていると、心南が俺に話しかけてきた。見ると、心南の周りにはすでに、美保と照花が来ている。
「この後、遊びに行かない?」
「あー……。ごめん。この後、勉強会やる予定なんだよ。だから無理だ」
心南から告げられたのは遊びの誘いだったが、勉強会が予定されているため泣く泣く断った。俺としても、遊びに行きたいのは山々なのだが、テストも近づいてきているし無視はできない。
「そ、そうなん……」
「まあ確かに、もう2週間前になるもんね」
俺の返答を聞いた心南は、少し肩を落としてそう返してきた。それに、美保が俺に同意するような言葉を言ってくれる。
「そ、そっか!もうそんなに経つんだ!ついこの間中間テストがあった感覚なんだけど……」
「でも、この期末を乗り越えれば、夏休みはもうすぐだぜ?遊びはそこまで待たないか?」
照花の驚いたような言葉に、俺はそう返した。事実、期末試験を終えてしまえば、夏休みはすぐそこである。
夏休みになれば、遠出も出来るだろうし、宿題さえすれば遊ぶことは出来るのだ。まあ、もう受験の事も考えないといけないのだが……。
「うっ……」
「ううっ……!」
心南と照花が、俺に顰めた顔を向けてきた。俺も遊びたい気持ちはあるが、今は勉強優先にしなければいけない。
「……そうだね。今日は、遊ぶのはやめとこうか」
俺の言葉に素直に頷いてくれたのは、美保だけだった。俺がそんな美保の言葉に頷くと、後ろから俺の肩に手が置かれる。
「よっ!なに話してたんだ?」
「いや、遊びに行かないか、って誘われてたんだ」
声をかけてきたのは、勝だった。見ると、桜蘭に利光、秀明もいる。
美保たちと何を話していたのかを問われた俺は、包み隠さずに事実を告げた。すると、勝と秀明が目を輝かせる。
「マジか!遊びに行こうぜ!」
「よっしゃ!どこ行く!?」
「もう!今日は勉強会でしょ!?駄目でしょ、遊んだら!」
勝手に盛り上がる勝と秀明に、桜蘭が注意する。利光も冷ややかな目をしながら、桜蘭に続いた。
「……なんなら、勉強教えなくてもいいんだぞ?勝手に赤点取って、死ねばいい」
「「すいませんでした!」」
利光が告げた言葉に、勝と秀明はすぐに謝っていた。赤点を取ると流石にまずいと言うのは、2人も分かっているようだ。
「……あ。じゃあ、私たちも勉強会に参加してもいいかな?」
「「……え?」」
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