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第17話

 妃奈子ちゃんの問いを聞いたまるちゃんは、目をパチパチとさせた。それから美保をチラリと見たまるちゃんは、妃奈子ちゃんに答えを返す。


「ママは、ママだよ?妃奈子お姉ちゃんは、ママじゃないもん」


 まるちゃんはそう言って、妃奈子ちゃんの言葉を否定した。まるちゃんにとって、ママはもう美保で揺るぎないのであろう。


「そっ、か……」


「……ありがとう、まるちゃん」


 まるちゃんの回答に妃奈子ちゃんは落ち込み、美保は微笑みを浮かべた。そして美保は、まるちゃんの頭を撫でる。


「えへへっ!ママ~!」


 まるちゃんは喜びながら、それを受け入れた。そんな光景を見て、俺も微かに笑みを浮かべる。


「……じゃあ、まるちゃんにとって、私ってどんな存在なの?」


 美保がまるちゃんを撫でていると、妃奈子ちゃんがまるちゃんにそう問いかけた。まるちゃんは首を傾げて、すぐに返答する。


「妃奈子お姉ちゃんは、お姉ちゃんだよ?」


「ん?お、お姉ちゃん?」


 まるちゃんの言葉に反応したのは、他でもない俺であった。まるちゃんがお姉ちゃんと言ったからである。


 まるちゃんは、お姉ちゃんという言葉をどういう意味で使っているのだろうか。本当のお姉ちゃんという意味なのか、近所のお姉ちゃんのような感覚なのか。


「お、お姉ちゃんって、どういうこと?」


「そのまんまだよ!お姉ちゃんだから、お姉ちゃん!」


 美保がまるちゃんの頭を撫でるのを止めてそう聞くと、まるちゃんは当然というように答えた。だが、何の情報量も増えていない。


「な、なんで私が、お姉ちゃんなの?」


「妃奈子お姉ちゃん、いつも遊んでくれるもん!それに優しいし!だからお姉ちゃん!」


 ……これは、どうなんだ?正直、どんな思いでお姉ちゃんと呼んでいるのか全く分からない。


 だが、こんなに嬉しそうなまるちゃんを前にすると、お姉ちゃん呼びを否定することなんてできない。妃奈子ちゃんも、まるちゃんのそんな言葉を聞いて嬉しそうにしている。


「……そっか。ありがと」


 まるちゃんにそう伝えた妃奈子ちゃんは、まるちゃんの頭を撫で始めた。まるちゃんは一瞬驚いたが、すぐに笑顔を浮かべてそれを受け入れる。


「……よかったな。まるちゃん。お姉ちゃんに撫でてもらって」


「うん!パパも撫でて~!」


 まるちゃんにお願いされたので、俺もまるちゃんの頭を撫でる。その時には、妃奈子ちゃんはまるちゃんの頭から手を離していた。


「……私も、撫でてほしい」


「え?」


「パパ!お姉ちゃんも撫でてあげて~!」


 俺がまるちゃんの頭を撫でていると、妃奈子ちゃんが俺にそう言ってきる。それを聞いた俺が驚いていると、まるちゃんも妃奈子ちゃん撫でるようにとお願いをしてきた。


 俺がどうしようかと思いながら美保の方をチラリと見ると、美保が眉をひそめていた。……どうやら、また機嫌を損ねてしまったようだ。


読んでくださりありがとうございます!

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