2話目
2話目
アステカ軍による進軍は目を見張るものがあった。冒険者達による妨害がありながらも、たった10日で東京タワーが見える位置までこれたのだから。
これを信者たちだけでやろうと思ったら、大量の秘宝を使わなければいけない。
死人も十人程度では収まらないだろう。
流石軍隊と拍手して絶賛しなければけない。だからこそ、戦時中にも関わらず酒に酔う人たちとは別人であるようだ。
「じゃあ、天落くんもそろそろ準備をしようか」
「もうか?」
「そろそろダンジョン区画にはいるからね」
ダンジョン区画とは、ダンジョンによって経済の競争が激しい場所のことを言うのだが、その区画だけ物価が物凄く高い。そのせいで、普通に生きている人では食事する事もままならない。
なら、誰が住むのかと言えば、冒険者と、冒険者に身を守ってもらいたい富豪たちだ。
そのため、ダンジョン区画だけ戦力の保有量が段違いだ。生半可な気持ちで突撃してはだめだろう。
天落は今回のために用意された、動きやすい戦闘用の服に着替える。ダンジョンを占拠するのに吉村の想定では1週間程かかるらしい。その分の補給食をボディーバッグにちゃんと入れる。
最近は何かと腹が減ってしょうがないんだ。常に何か食べていないと、体が動かせなくなる。そのため、食料は十分に持たなければいけない。
「よし、いくか」
腰には【鈍ら】指には【閃光の指輪】バッグに隠すように【真実の林檎】が入っている。準備は万端だ。この装備なら1ヶ月は戦い続けられるだろう。
天落は吉村の所に行くと、そこには転移門がおいてあった。
「みんな集まったね」
周りを見ると、一野、八神、アルべノート、キング、森森、如来、有紗、そして吉村が集まっていた。
「それじゃあ行こうか、最終決戦へ」
「気を引き締めなければいけないな」
「やってやるっす!」
「頑張りましょう」
「なん人倒せるかな!」
「穢れた人たちを滅しましょう」
「体力は有り余っているぞ」
それぞれが気合を入れて、転移門をくぐっていく。戦いはこれからなのだ、全力を出して戦わなければいけない。しかし天落には緊張してはいなかった。
これまでの人生を思いだし、ただ愚直に勝利へ突き進もうとしているのだ。
「ふー」
天を見上げた。
「神が居るのであれば、今の俺にどの様な罰を与えるのだろうか」
思い浮かべるのはクスリ。体中にひしめく形容しがたいこの感情は、いつしか牙をむいてくるだろう。
精神すら壊れそうになったのだから。
「だが同時に力も手に入れた」
負ける事すら考えさせられない程の強大な力をこの肉体は保有している。いまダンジョンに入れば10階層まで楽に行ける事だろう。
「求めるしかない。俺は薬物中毒者なのだから」
天落は転移門をくぐり戦地へ行くのだった。
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