23話目
23話目
そこには地獄が広がっていた。死体のようにうなだれている人が、積み上げられており、まるでアリ塚だろう。そんな光景を作り出した天落は今だ止まろうとはしていなかった。
「まだいるな?」
こんだけ騒がしく戦っていても、まだ酒を飲んでいる愚か者が沢山いるらしい。足場が無いため積み上げられた人を踏み、目的の部屋まで行く。
すると、そこには沢山の人がいた。
この人たちが本当に軍人なのかと疑いたくなるほどどんちゃん騒ぎをしており、怒りが溜まっていく。
そんな中近くに居た1人が俺の事に気が付いた。
「おん? 酒持ってきたのか? さっきからいくら呼んでも来なかったからな! 早くしろよ!」
「……一回死ね」
口では死んでほしいというが、実際そうはいかない。自制心で何とか衝動を抑えながら気絶するように一発ぶん殴る。
技術は無い為単純なパワーで気絶させる。
もちろん加減はしているため死にはしないだろう。……後遺症は残るかも知れないが。
すると、天落の行動をみて止めようとする人が出てくる。しかし酒に酔っていて真面に歩くことが出来ておらず、転んでしまった。
「……同じことさっきやったな」
デジャブだ。
酔っていると、全員同じような行動しかできなくなってしまうのだろうか。だったら、さっきと同じように全員ぶん殴れば万事解決だろう。
そう思い、容赦なく1人1人殴る事にした。
「おら!」
「やめ…グほ!」
「しね」
「グボラ!」
「っち!」
「グボ!」
部屋の中では殴ら手ている音が響いていた。敵わないという事が分かったのか誰も止めようとはせず、傍観している。
そうして、200人ほど殴った頃だろう。
偉そうな人に声をかけられた。
「い、一回やめくれないか!」
「あ゛? 誰だ」
「俺はこの軍の最高責任者だ! 騒がしくしていたのは悪いと思っているが、これ以上は外交の問題になってしまう。そこらへんで止めてくれはしないか!」
外交の問題とは吉村とアステカ王国の仲を、悪くしてしまうと言う事だろうか。良く分からないが……これ以上やるのはやめておいた方が良いのか?
しかし、最後までやらないとまた騒ぎ出すかもしれないよな。
天落は足りない知識で頑張って考えとある結論へと行き着いた。
「アルべノート! いるなら来い!」
物凄い大きな声でアルべノートを呼ぶ。
すると、すぐにバタバタとした音が聞こえてきて、部屋の入口の息の切れたアルべノートが立っていた。
「なんですか、ってなにしているんですか! 信者たちドンびいてますよ!」
「そんな事どうでもいい。アステカ王国の国王にいい感じの秘宝を一つ渡して機嫌をとれ」
「はあ? なんでですか。そもそも、いい感じの秘宝って無いと思いますけど」
「……それなら、これを渡せ。俺は今からこいつらをだまらせなければいけない」
取り出したのは、宝物庫で取り戻したカードだ。もう天落には必要ない物だったから、渡しても問題ないだろう。
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