7話目 ボス~案外簡単なダンジョン攻略~
7話目
体は重く、今までにないほど疲労していた。しかしそんな状態でも俺は走っていた。
こんな体であれ魔物と十分に戦う事が出来ると分かった時、全身が少しだけ軽くなったのだ。
不摂生でボロボロの体では、魔物と戦えないのではと心のどこかで思っていたのかも知れない。そんな疑惑が晴れた今、走れる程度まで回復していた。
「クスリはどこだ!」
気持ちはクスリ一直線。
どこにあるのか分からないが、それでも走る。
すると、曲がり角を曲がった時そこにはゴブリンがいた。しかし俺は一切足を止めず近付いて行く。
たどたどしい走りで近付いて行き、間抜けな顔をしているゴブリンの脳天に勢いのまま短剣を刺す。
「どけ!」
「ギャ?!」
そこでやっとゴブリンは俺がいる事に気づいた。
走っている間俺はずっと、見えなくなる能力を使っているから気付かれなかったのだ。
なぜ使えるか分からないが、使えるものは使った方が良いだろう。
すべてはクスリを手に入れるために。
そうして順調に魔物を倒しながら走っていると、下の階へ行くための門を見つけた。
この門の中にいるボスを倒せば下の階へ行けるらしいのだ。俺は考える事すらせずもんに手を当てた。
クスリはこの階層には無さそうなので一刻も早く下の階へ行きたいのだ。それに10階層まで行ければ麻薬が手に入る。妥協ではあるがクスリが手に入らないのであれば麻薬でもいいだろうと思っているのだ。
早く早くと焦る気持ちから足に力が入っており、門が開けきる前にくぐった。
「オラ死ね!!」
一般的にボス部屋にいる魔物は複数人で挑まなければ倒せない事が多く、事前に万全の準備をしてから入る事が多い。
しかしそんな事は頭にないのだ。
悠長に準備をしていてはクスリの効果が抜けて行ってしまい、気分が憂鬱になってしまう。いまだって手が震えてしまっているのだから。
門を開けた先にいたのはゴブリンよりも体形が良く背が高い魔物。ゴブリンが進化したらこんな感じになるんだろうなと言う想像がそのままで現実になった魔物だ。
そんな相手に真っすぐ突っ込み、頭に短剣をぶっ刺した。
スピード全開の猪突猛進。
ベテランの冒険者から見れば自殺しに来ているのかと疑いたくなるが、それでもボスには効果があった。
実際に、しっかりと刺さったようで死んだようだ。
あっけなかったなと安心し次の階層に行こうとすると、その前でポンと」音を立てながらボスの死体が煙と共に消えた。
「あ゛?」
謎の現象に驚きながらも手を払いながらボスの死体があったところに近寄る。
そこにはなんと宝箱があった。
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