16話目
16話目
チン!
エレベーターが最上階に到着する。
「んあ、この時間来客はあったか?」
「ちょっと待て確認する……ねえな」
ゆっくり開く扉の前には2人の巨漢の男がおり、先ほどまでの和気あいあいとした場所とは、別の所にいるような感覚に陥る。
「係員が間違えたんだろ」
男二人はドアの前に立ち、開き切るのを待つ。言葉遣いは悪いが仕事はちゃんとする。
「ありゃ? 誰も居ねぇぞ」
しかしエレベーターの中には誰もいない。おかしく思い、中に入って見てみるがアリ一匹すらいない。
「は、上か! ……いねぇ」
腰に掛けていた剣を真上にむけるが誰もおらず、ただ剣を上にあげただけになってしまった。
「ぶははっはっははは!! ハ、上か! ってなに格好つけてんだ。どうせエレベーターの不具合だろ。直ぐ降りろよ」
「うるせぇ」
男二人には何も出来ないから、エレベーターを下の階に下げさせる。
「はぁーおもしろ」
「忘れろ!」
誰もいなかったことで気が抜けたのか、和気あいあいとした雰囲気になっている。だから気付かなかったのだろう。足音に。
★
「侵入成功だな。案外簡単に入れたな」
潜伏を使い宝物庫があると言われる最上階に侵入するができた。後は、宝物庫の中に入ればいいだけだな。
そう思いながら、目の前の門の前に立つ。
ダンジョンのボス部屋を意識していることがひしひしと伝わってくる見た目であった。
「さて、どうやって入ればいいんだか」
エレベーターのドアは誤動作の可能性があったから、潜伏が解除される事は無かったが、この門がダンジョンと同じように手動なのであれば、潜伏が解除されてしまう。もし中に人がいるなら、作戦はその時点で失敗だろう。
……どうすればいいんだ。
どうしょうもないため、門の前で立ち尽くしていると、突然ギギギと言う音をたてながら門が動き出した。
「ハァ、何なんだよ。エレベーターに不具合が起きたって。あいつら、減給してやろうか」
門から眼鏡をかけているデブが出てきた。
さっきの男たちが呼んだのだろう。いいタイミングだ。
俺は門が開いたのをいいことに、入らせてもらう事にした。これなら、潜伏の効果が解除される事は無いからな。デブの横を通り過ぎ、門の中へ入る。
「これは、凄いな」
中は秘宝だらけであった。綺麗に飾られており、装飾品の様な物まであるが、触れば直ぐに秘宝だということが分かる。
こんだけあるんだから自分用に一つくらい貰って行こうかな。
吉村に連絡する前に、秘宝を物色させてもらう。出来れば閃光の指輪の様な物があればいいんだけどと思いながら、べたべたと順々に触っていく。
「お! これは良いんじゃないか?」
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