13話目
13話目
東京スカイツリーまでの距離は53kmほど。
俺は吉村にお願いされ走っていた。
「疾走!」
準備に4日ほどかけてしまったせいで、出発した時点で残り3日しか期限が無くなってしまっていたが、今のところは順調だ。
すでに市の範囲からは突破しており、東京スカイツリーがあるという区の範囲に到着しているのは疾走様様だろう。
「そろそろ補給するか」
そろそろ昼頃だ。迷宮適合のせいなのか、この体になってからお腹が空く事が多くなっているように感じる。そのせいで手持ちの食料が無くなってきた。
ダンジョンにいた時のように、人を襲って食料を強奪したいが、吉村に一般人に危害を加える事は禁止されているから、今のところはよしている。
しかし、本当に食料が無いんだよな。どうすればいいんだ?
なけなしのスティック状の補給食を口に入れ今日の分の食料をどうするべきか考える。
金はない。売れる物もない。さらに物乞いを出来る様な見た目ではないため、いい発想が浮かぶ事は無かった。仕方がないが、今できる事は出来るだけ早く東京スカイツリーに行くしかないのだろう。
もし襲ってきてくれる人がいれば、反対に強奪も出来るのだが……そんな人は居ないよな。
座っていたベンチから腰をあげ、足に力を入れる。
「疾走」
体全体に強い圧力がかかってくる。早すぎるが故に負担になってしまっているが、迷宮適合を行なっている天落にとっては、痛くもかゆくもない。
これ以上速度をあげると、風圧で周りに被害が出てしまうため、いい感じに自重しなければいけないが、ここまで走っている間に加減を覚えることは出来た。
たまに加減を間違えて、風圧で木々をなぎ倒してしまっているのは、愛嬌として許してほしい。
「もっと早く走れればいいんだけどな」
ダンジョンであれば被害なんてことは気にしなくていいから風圧とか考えずに好き勝手走れるんだけどな。急がなければいけないのに、自分から速度を落とさなければいけないのはどこかもどかしい。
吉村の指示でなければ今すぐにでも破っていただろう。
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