6話目 ダンジョンへ~ヤク中は新たな薬物を求める~
6話目
ダンジョンとは数十年前に出来た巨大な穴の事だ。中に入れば人工的な構造になっており、全10階層に分かれている。
下の階に行くためにはボスという生き物を倒さなければならない。しかし倒すことが出来れば今の科学では解明できない秘宝がでてくることがある。
「はぁ、はぁ」
ダンジョンに入ることは出来た。
しかしさっきの戦闘が思いのほか体に来ていたようで、疲労で動悸が止まらず動くことが出来ない。
準備運動と言って軽々しく動いていたが、弱弱しい体には重労働だったようだ。なんでこんな事になっているのかはすぐにわかった。クスリのせいだ。
クスリのおかげで脳がぶっ壊れていたせいで疲れていることに気付かなかった。
それはいいのだが、今になって効力が切れてきたのだ。
「はやく、早く探さなければ……」
全身に鉛を埋め込まれているような感覚に膝をつきたくなる。しかし、一度膝をついてしまえば起き上がれなくなるだろう。
それはダメだ。
はやくクスリを探さなければ。
頭の中は疲労と中毒症状でグチャグチャになっており、真面に考えることが出来ない。もがくように歩きながら、クスリを探す。
ダンジョンに入ったのだからすぐに見つかるだろうという楽観的な感覚から、戦う事さえままならない体でダンジョンの奥へ進む。
「グギャ!」
その時何処からか音が聞こえた。
しかし気にする余裕なんてあるはずもなく無視する。だが直後無視できない事に気づいた。
木の塊のようなもので殴られたのだ
真横から腕に直撃するように薙ぎ払われたその攻撃は、酷く鈍い音を盾ながら俺の腕を麻痺させた。
痛みは脳髄にまで浸透しそこでやっと目の前の魔物の事に気が付いた。
「クソが!!! 何なんだよお前は!!」
「グギャ?」
目の前にいたのは俺の胸ほどしかない生物。一見子供のように感じてしまうかも知れないが、それは誤りである。
通称 ゴブリン。
人型で二足歩行の魔物である。一般的にはゴブリンと言われており、元ネタは妖精なんだそうな。正式名称はしらない。
そんな生物が俺を攻撃してきた。
「あ゛あ゛あ゛! イライラしてんだよこっちは!」
「ギャア!」
「はぁはぁ。クソが! 死ねや!」
力すら入らない程疲労していた体を酷似し、持っていた短剣をゴブリンの顔へと投げつけた。
「ギャ!!!」
しかし、流石にバレバレすぎたのか避けられてしまった。だが、だがな。
目ぇつぶったよな?
一度俺から視界から外すと使える謎の能力を使用した。するとゴブリンからは見えなくなったのか首を傾げて周りを見渡し始めた。
「オラ!!」
俺から背を向けた時を見計らって頭めがけて思いっきり殴った。すると、流石に体格差があったのかもろに直撃し、脳震盪で倒れてしまった。
「死ね。死ね!」
その倒れたところを追撃するように馬乗りになり、何度も殴っていく。
気分が荒れていたからなのか、慈悲などなく何度もだ。
ガン! ガン!
殴っているうちに頭蓋骨が割れ勢いのまま脳味噌を殴る。しかし一切止めない。死んでいることは明白だが、殴るのは止めない。
原型が無くなるまで。そして気が済むまで。
ずっと殴る。
グチャ!グチャ!
いつしかミンチ状になり殴る意味など無いほどまでになっていた。そこでやっと立ち上がり、短剣を拾いに行った。
「きたねぇ」
手についていた液体を振り払った。
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