8話目
8話目
「体調が悪いなら休んできていいよ?」
「……いや、大丈夫だ」
大丈夫だ。本当に大変なときは俺がなんとかすればいい。そうだろ?
心の中で何回も唱えて精神をなだめる。
「そう? なら続けるね」
異能があるし強い体も持っている。それに冒険者と戦った事もあるんだ。たとえ迷宮適合をやった人が沢山いても全員殺せるはずだ。
俺は強いんだから大丈夫だ。
グルグルとわだかまりのように、黒くどろどろとした感情が胸を締め付けてくる。
「迷宮適合を行った人への明確な対策方法は今のところない。だから、秘宝を持っている状態で対峙したい。私達のような真面に食事も出来ない人たちと、毎日捨てるほど食べる奴らだから、迷宮適合以前に秘宝を持っている状態を常にしたいけどそうもいっていられないからね。私たちが出陣した時、肌が真っ黒で角が生えている奴を見つけたら秘宝を持っている信者が相手をしよう。今ある秘宝は全部でいくつかな?」
「報告されている秘宝に限りますと、キングさんのを除いて攻撃系が13個あります。防御系に関しては総数が少なく、合わせて5個、支援系に関しても5個と数は少ないです。タナトスのような雑多な秘宝は8個ありそのうちの4個は実用できるほどの効力は持っておりません」
これだけ信者がいる宗教でも秘宝は全部で31個しか秘宝を所持していない事から、秘宝自体の希少性がしれる。
「そっか、いま八神が持っているのは何個だっけ?」
「攻撃系は持っておらず、防御系が【天来】、その他の系統に関しては【風雷一閃】、【風龍の吐息】、【四季折々】を所持しております」
「あれ、攻撃系の秘宝は持ってないの? まあ天来と風雷一閃持ってれば大丈夫だったんだ」
吉村を助けに行くために使わせていた秘宝はまだ渡したままなんだ。
「一野も焦っていたようで、渡すのを忘れていたようです」
「仕方ないかな。じゃあ、風雷一閃と風龍は回収してその代わりに攻撃系の【揺ら揺ら・海月】渡しておいて」
「海月ですね。分かりました」
「あとは、一野にも攻撃系を渡しておきたいな」
「発現よろしいでしょうか」
「ん? どうしたの如来さん」
すると筋肉がムキムキな如来さんが口を開いた。
「一野に渡す秘宝でしたら黎明を推薦したい」
吉村が目を大きく開ける。本当にいいのかと強く疑問に思っているようだ。
「黎明って……駄目だ。黎明は渡せない」
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