3話目
3話目
絶句
そんなキングの表情を無視して話を続ける。
「1つ目が潜伏。俺のことを見ていないやつに使える。姿が見えなくなるんだ。
2つ目が疾走。早く走れる。
3つ目が鋭利。鋭くなる。以上だ」
異能の説明を終え席に座る。能力がシンプルであるがゆえにこれ以上説明できることがない。
しかし、吉村たちは理解しきれなかったようだった。
「えっと……実際に、見せてもらうことはできないかな?」
「いいが、今の説明以上のことはなにもないぞ?」
「説明不足だって言ってるんだよ!」
「キングくん少し黙って」
キングが無視されたことに苛ついたのかちょっかいをかけてこようとするが、吉村に叱られていた。
いまはしょぼん。としている。
「じゃあ、潜伏から使うぞ」
「おねがい。みていないときに使えるなら、私達は目をそらしたほうがいいのかな?」
「そうだ。一瞬だけでいいから視界から外してくれ」
そう言うとその場にいた全員が天落のことを視界から外す。潜伏の脅威をしっているから、こんな素直に従ってくれるとは思ってもいなかった。
すぐに潜伏を発動した。
「もういいかな? あれ、いないな」
「あ、本当だ! どこに行ったんだ!」
吉村以外にもざわざわと騒ぎ始めた。しっかり潜伏を使えているようである。
ダンジョンにいたときならばこのまま首を取りに行っていたが、今はデモンストレーションなので潜伏を解くことにした。
「ここにいるぞ」
「わ!」
キングは俺が現れたことに驚き思わず椅子から立ち上がってしまっている。
せっかくなのでキングの後ろで潜伏を解いてやったんだ。意志が返しだ。
「おー、すごいね……あ! もしかして私とあったときも潜伏使ってた?」
「よくわかったな」
「だよね! 全く分からなかったよ」
あのときは誰が入ってくるか分からなかったから警戒していたんだ。
「じゃあ他のも見せてくれるかな」
「あぁ。しかし、疾走と鋭利はそのままだぞ?」
「いいからいいから」
この狭いところで疾走を使うのは不安があるが全力で行わなければ大丈夫だろう。
足に力を入れる。
「疾走」
一歩踏み出す、その時視界が引き伸ばされた。やばいと思いながらも勢いが付きすぎている。
減速するため部屋中を駆け巡る。
吉村たちには残像しか見えていないだろう。勢いが落ち、止まれたときには机はボロボロになっており散らばっており、この部屋にいた人たちは風圧で倒れていた。
「お、おい! 何するんだよ!」
「ここまで速いとは……」
「……」
キング、森森、如来の反応だ。
「ここまでとは……すごいね。風龍で追いつけるかな」
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