1話目
三章
1話目
保安庁を陥落させ、ひと段落ついたため一度休憩に入る事にしたらしい。食料は保安庁に保存用のものが沢山あり、久しぶりにお腹いっぱいご飯をためることが出来ると信者たちは喜んでいた。
そして、天落も喜んでいる内の1人だった。
ダンジョンから連れ去られてから真面な食事は取らせてもらえず、与えられていたのは健康を保つための最低限の食事と栄養を補うためのサプリメントだけ。
元々まともな食事をしてきた人生では無かったから、そんなんでもありがたかったけどそれでも味気ないことには変わりなかった。
配給されたプラスチック片のようなものに水を入れ30分待つと米ができていた。
待っていましたと言わんばかりに口の中に頬張る。
「うめぇ」
米から感じる甘みは、ダンジョンで奪って食べていた補給食に比べたら薄いが、そんなものと比べるまでもなく旨味が強い。
噛めば噛むほど増す旨味にずっと口が動く。
思わず涙が出てくるほどだ。
その後はもう米の事しか考えず手と口を動かした。食べ終わった頃には腹は満たされており、麻薬にも劣らない程の満足感もあった。
「うまかった」
周りを見てみると俺と同じように、泣きながら食べている人ばかりだ。ここにいるみんな俺と同じように、労働力としてしか見られていなかったんだろう。
感傷深く考えてしまう。
「さて、行くか」
貰った水を一口飲み立ち上がった。
これからの計画のために。
★
「じゃあ始めよっか」
吉村の声が会議室の中に響く。そこには天落のほかに有紗やアルべノート、それ以外にも3名ほど人がいた。
「これからの事なんだけど、一先ず新・アステカ王国の援軍が来るまでは待機する事になるよ。でも、占拠した市を取り返される心配があるからある程度は警備をしてもらうけど……どの位で来てくれるんだっけ?」
「援軍は1週間後には来られるそうです」
「ありがとう」
有紗が補助をしている。なんだかんだ言って吉村は平凡の域を出ないからこういう風に補完しなければいけない場合があるんだ。
「つまり1週間後に進行を再開するんだ。そこで一度作戦を練り直そうと思う。細かい動きだけじゃなくて大幅に変えていきたい」
「質問よろしいでしょうか」
「何だいアルべノートくん」
「飛行機(転移門)の使用を許可してもらえれば明日にでも援軍を呼ぶことが出来ますがどうでしょうか」
「いや、飛行機はまだ公には見せたくないから使わない。それに八神くんの不調もあるし‥‥‥キングくん、森々さん、如来さん、には気合を入れてほしいしね」
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