5話目 短剣との出会い~手になじむ感触~
5話目
よってたかって来る警備員は全員殺せた。拳銃を出された時は流石に焦ったが……何とかなるもんだな。
壊れたフルフェイスマスクを外す。
「うわ~、死ぬだろこれ」
撃たれたところを見ると凹んでおり、至近距離ではあたっちゃダメなんだと体が震えた。戦闘中はアドレナリンが出ていたのか、クスリの効果と合間って撃たれた時の事なんて考えていなかったけど、次撃たれた時は流石に避けよう。
そう心に決めた。
すると、また人の声が聞こえてきた。流石に騒ぎすぎたようだ。
少し反省をしながらダンジョンショップの窓から外の様子を見てみると、沢山の人がいた。
殺されるかもしれないのになぜこんなにいるのかと疑問に思うが、流石SNSの時代。と一言でかたづけられる。
しかし……準備運動はもういいんだよな。
体は十分ほぐれている。これ以上はダンジョンに潜れない程の疲労が溜まってしまうだろう。
「ダンジョンに行くか」
もうここでやりたい事は無いから行くことにした。
最後に殺した太郎警備員の脳に刺さっている短剣を引き抜く。荒々しく使っていたため多少刃こぼれがしているが、こいつらを殺すのにショップの中をグチャグチャにしてしまったので、代わりの短剣を見つけることは出来ない。
仕方がないので、この短剣を使う事にした。
ダンジョンショップに来た一番の目的である武器を手に人だかりが出来ている正面出口へ出向くのであった。当たり前だが捕まりに行くわけではない。
ならなぜ正面から出ていくのか?
この警備員達を殺していた時ある事に気付いたからだ。
警備員が俺から目を放したら、俺の事が見えなくなることに。
最後に殺した太郎警備員は傑作だった! 俺のことが見えていないことに気が錯乱したのか、銃を乱射しまくって仲間を殺しちまうなんて。
思わず笑っちまったよ。そのせいで場所がバレたけどな。
でも、物陰に隠れて視線を外しちまえばまた見えなくなる。その繰り返しに、弾が尽きた瞬間にグサリだ。
今でも頭蓋骨を砕いたときの感触を思い出せるぜ。
まあそんなわけで一度目を放しちまったら俺の事は見えなくなるってわけだ。
なんでかは知らない。でも、結構前にだがダンジョンに潜っている冒険者の中に、異能?だかなんだか言った事が出来る奴がいるとか何とか……まあ、関係のない事だと思って殆ど覚えていないんだけどな!
だから、同じような事が俺にも出来るんじゃないかって事だ。
「あたりだ」
真正面から出てきた俺を見つけることができた奴は1人もいなかった。思わず腹から笑いだしそうになるが、流石に抑えた。
太郎1人だけなら何とでもなるが何とでもなるが、この数は流石にヤバい。
それに。
俺は最前列にいる強固な防具を着ている人を見つけた。冒険者だ。
冒険者と戦うのは流石にヤバい。戦い慣れている奴らと殺し合うのは準備運動どころの騒ぎではないからだ。
んじゃ、俺はいそいそダンジョンに潜らせてもらおうかな。
人波に潜っていきダンジョンの方向へ向かうのであった。
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