24話目
24話目
「転移門を用意しています! 直ぐに脱出しましょう!」
「そっか。ならお願いしようかな」
アルべノートは転移門を持ってきたみたいだ。出来れば安全な場所に保管しておいてほしいけど階段を上がるのは辛かったし、そもそも安全な場所がどこなのかという問題があるから、気にしない。
下手な場所に置いておくとベルモンド国王とかに盗まれるかも知れないし、それならアルべノートが持っていた方が安全。
「では少し離れてください」
アルべノートから数歩離れる。それを見て腰に付けている手のひらほどの巾着に手を突っ込んだ。ごそごそと巾着の中をかき分け始める。
「出します!」
巾着から人一人余裕で通れるほどの大きさの門が出てきた。明らかに巾着には入らないサイズをしているが、それは巾着が秘宝だから入れることが出来ているんだ。名前はボックス。
巾着のなかが部屋一個分の広さになっているみたいなんだ。そして珍しい事に代償がない秘宝でもある。
見た目らしからぬ容量で、出し入れが何回も出来て、代償もない。そんな秘宝がボックスだ。転移門どうよう涎が出るほどの秘宝である。
「じゃあ私は先に行かせてもらうね。後処理はお願いするよ」
「分かりました!」
元気よく返事をしてくれたアルべノートを背に天落くんと一緒に転移門へ入ってゆく。転移門はアルべノートが回収してくれるだろう。
そう安堵しながら入って行った転移門の先は保安庁の入り口前だった。
★
天落
歓迎の声に包まれている吉村の傍から離れ、物陰に隠れる。
信者的には俺の事よりも吉村の事の方が大切なようで、そこまで注目はされない。真っ黒な見た目も相まって話しかけづらいのだろう。それでも、多少声をかけてくる奴は居たが、適当に撒いてきた。
近くの段差に腰かけ深く息を吐く。
迷宮適合とかいうクスリによって体の構造が大きく変わってしまっていたせいで力は前の数倍にもなっている。下手に力を入れれば骨なんて簡単に折れてしまう。
さっきまで近くに吉村がいたからずっと緊張していたんだ。
「誰もいないな」
あたりを見渡し誰もいない事を確認すると、服の中に隠しておいたファイルを取り出した。吉村が寝ている時にくすねておいたんだ。
中身は迷宮適合に関するものだ。
ただ、研究の成果が書いてあるわけではない。
「まさか、合同研究だったとはな」
迷宮適合は保安庁の研究者だけで作られたものではなかったのだ。保安局以外にもとある組織が絡んでいるらしく、その詳細がこのファイルには載っていた。
名は【エイビス】
冒険者ギルドの研究機関みたいだ。
「ここに行けば迷宮適合はあるよな?」
なり叫ぶ心臓が求めるものを指示していた。
第二章 終
【麻薬求めてダンジョンに入りました!〜現実逃避してるヤク中は短剣片手に走り回る〜】をご覧いただきありがとうございます!!
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