23話目
23話目
体を大きく揺さぶられる振動で意識が浮かんできた。頭は覚醒していないが、いまどうゆう状況なのかが分からない程寝ぼけてはいない。
「おはよう」
「起きたか。仲間がきたぞ、扉の前で待機させている」
「ありがとう。確認してくるよ」
体を起こし、ベットから降りようとする。しかし、腕が使えない事を忘れていて、うまく起き上がれなかった。それを見て天落くんが助けようとしてくれるが、その前に腹筋を使って起き上がる。
そのまま扉の方に歩いて行った。
「あれ? 開けては無いんだ」
「本当に仲間なのかしらないからな」
こういう気遣いが出来るところから精神の清らかさが見て取れるよね。
扉についているガラスから覗くと、そこには言われた通り信者がいた。アルべノートと千千かな。他にもいそうだけど、ガラスの穴が小さくて見えない。
「仲間だね。助に来てくれたみたいだよ」
「そうか、なら開けるぞ」
そう言うと、鍵で扉を開けた。ガチャと言う音とともに、あちら側から扉を開けられる。
「大丈夫ですか教祖様!」
「君たちのおかげで大丈夫だよ。それよりも今の状況を聞きたいんだけどいいかな?」
「はい!」
アルべノートが元気よく返事をしてくれる。いつもはこんなテンションじゃないけど……もしかして麻薬使ってるのかな?
まあ、戦場だからいいんだけどね、その程度は。
「保安庁の職員の拘束は完了し、建物全体を占拠しているところです!」
「順調だね。負傷者はどんな感じ?」
「全体の5割が軽傷でそのうちの3割が長期的な治療が必要なほどの怪我を負っています! しかし異能者の負傷者は今のところいません」
「そっか。あ、八神は大丈夫? 異能使ったのなら後処理もちゃんとしなきゃいけないけどそんな時間は無かったでしょ?」
「拘束した職員を生贄に出来たようです!その際洗脳の秘宝を使用しましたが、2日ほど休めば元に戻るそうです」
「よかったよ。八神は死んでほしくないからね」
八神の異能である巧者は一定時間代償なしで秘宝を使い放題になるが、デメリットなしで使える異能ではない。約1時間がすぎた時、払うはずだった代償を一気に取られるのだ。つまり代償を後払いにしているだけ。
でも、その代償を八神が払わなくても良くする方法がある。
他人に押し付けるのだ。
しかし、それには条件がある。押し付ける相手が代償を払う事を認めていないといけない、そして粘膜を互いに接触させなければいけない。つまり押し付けるには基本的に味方でなくてはいけないわけだ。
その条件を八神は洗脳の秘宝を使う事で解決した。
ちなみにだが、他人に代償を押し付けるのは八神だけが出来る訳では無く、秘宝を使う時に相手が同意していて粘膜が接触していたら吉村だってできる。実用的ではないから使う事は少ないけど。
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