22話目
22話目
八神
体には無数の秘宝が付けられている。一つ一つが、常人には耐えることができないほどの代償を払わなければいけない代物だ。
例えば左薬指につけてるリングの代償は血液2リットルl。致死量が1リットルだから普通だったら一回もつかえない。
しかし、八神だったら使いまくれる。
「ついてきてますか!」
『速すぎだよ! 占拠しなきゃいけねぇのわからないのか!』
「大丈夫そうっすね!」
『おい! 大丈夫じゃねえって!』
まだ余裕そうだったのでもう少し速度を上げようと通話を切る。通話相手だったアルべノートさんは何故か声を荒らげていたが、いつもこんな感じの人なので気にしない。
秘宝 風雷一閃を連続で使用し移動速度を更に上げた。
「まだまだ行くっすよ!」
教祖が保安庁の気を引いてくれているからか、さっきまでうじゃうじゃいた保安庁職員が一切いない。
そのおかげで占拠は容易かった。
だが、例外はつきもの。
「クソが! こんなやつが居るって知らねぇぞ!」
保安庁ではない。たぶんだが冒険者かぶれの一般人だろう。しかし、手には秘宝らしきものを持っていた。
秘宝を持っている相手は無条件に警戒しなければいけない。
でも、
「そんなこと関係ねぇ!」
今の八神を止めることが出来るやつはいない。
秘宝を持っている時点で敵とみなし撃退する。
「秘宝 風龍の吐息!」
風が八神の背中を押し、更に速度が上がる。八神はそのまま男に突撃した。
男は圧倒的速さに反応することもできず、突撃をもろに食らった。なにが起きたのか理解できたとき既に男の右半身はなくなっていたのであった。
★
プルルル、プルルル。
待ちわびていた着信音が部屋の中で響く。
天落くんにポケットの中からスマホを出すのを手伝ってもらい、通話ボタンを押した。
「待っていたよ。どんな感じだい?」
「15の市、占拠完了しました。これより、16の市にある保安庁への襲撃を開始します!」
「手ごわいから気合入れてね。それと私の救助は最後で大丈夫だよ、安全な場所にいるから」
「は!」
天落くんに入れてもらったアイスコーヒーをストローで吸い通話を切る。なんでこんなにまったりしているかと言えば、さっき見つけたのだけど、扉に頑丈そうな鍵を見つけたのだ。
それも、電子ロックではなく鍵穴式だ。鍵はおじさんのポケットの中に入っていたのでそれを使い、誰も入れないように閉めさせてもらった。
「じゃあ休憩だね。少し寝てきていいかな」
「見張っている」
「ありがと」
今日は色々あって精神的にも身体的にも疲れている。そのせいか眠気が襲ってきた。戦場の中で寝るのは無防備過ぎるが、ここにはダンジョン4階層まで行った天落くんがいるんだから大丈夫。
何故か置いてる仮眠用と思われるベットで寝させてもらうのだった。
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