20話目
20話目
髪はぼさぼさで、肌はボロボロ。おじいさんのように……いや、おじいさんよりも肌が真っ黒になっており、頭からは枝分かれしている角が生えていた。
しかし、数年前話した時の面影は残っており、直ぐに彼だと言う事が分かった。
「久しぶりだね天落くん」
彼の体がピクリと動く。するとこちらに顔を向けてくれた。
「随分大変だったそうじゃないか。こんな痩せてしまって」
「……吉村か」
「覚えてくれていたんだ! あの後麻薬を使うようになったって聞いて心配していたよ」
「そう言うお前はその格好はどうしたんだ」
天落くんが吉村の格好に指をさしてきいてくる。
「これかい? 実はここ……政府組織に潜入するために借りているんだよ」
「そうか」
酷く冷たい声だ。興味が無いわけではないのは分かるが、それでも感心が無いらしい。
「そうだ、そろそろ仲間が来てくれると思うからその時に一緒に脱出しないかい? 美味しいご飯を御馳走したいからね」
「そうか」
「天落くんがここにいる間にいろんなことが変わったからね。ぜひ案内してあげたいよ」
「そうか」
「じゃあ行こうか」
良さそうな反応なのでいったんここから出ておきたい。天落くんとはあえたし、もう保安庁にいる必要は無いからね。
研究室から出るためにドアの方向へ歩き出す。出来れば迷宮適合の研究資料を持っていきたいけど、腕が使えないんじゃあ持っていけない。
「おい」
その時であった。天落くんが吉村の体を持ち上げたのは。
「ん? どうしたんだい」
何か起きのかと思ったが、別に誰かが来たと言う訳でもなく、自身が起きたと言う訳でもない。なぜなのか?
「その秘宝をやめろ」
「何のことだい?」
「ッチ! これか」
持ち上げられたまま、服の中をまさぐられる。何を探しているのかなんとなく予想がついているのか抵抗しようとするが、持ち上げられているので抵抗しようにもできない。
どうしようもないので抵抗をやめると、隠し持っていた綺麗な箱を取り出された。
あーあ。と思いながらも、もう使う必要は無さそうだからいっかと、考え直した。
「毒化粧……代償は年齢の前借りか」
秘宝 毒化粧
効果としては毒をばらまくだけなのだが、代償が結構大きい。なぜなら、死期を早めるのだ。
使った時間は多分1時間位だから……30歳までには死ぬかな。今は28だから2年の寿命だろう。
今死ななければいいから使わせてもらった。
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