17話目
17話目
扉を開ける。重く硬い、そんな印象を植え付けられるほど重厚な素材で出来ている。
「ふ!」
両腕が使えないため、足を巧みに使いなんとか開けきることができた。こんなに重い扉は金庫くらいでしかみたことがない。
そんな先にいるのは誰なのだろうか。
「おーい! きこえるかい!」
入った瞬間に思ったのは真っ暗だということ。1m先が見えないほどの暗闇が広がっており、奥行きどころか横幅もわからないから。
しかし、声の反響からして扉から奥まで10メートルもないだろう。
「聞こえるなら返事をしてくれ!」
5秒たとうと、10秒たとうと返事は聞こえない。
衰弱やら、そもそも声が出せないようになっているかもしれないから期待していない。それでも繰り返し声は上げておく。
声を出しながら中へ入っていく。カツンカツンと足音がな響く。
反響からして中央に来たとき、部屋の電気がついた。自動式なのか、もしくは見られていて遠隔でつけられたのか、さだかではないがひとまずこの部屋を探索してみたい。
目の前には巨大な手術用の台があるのだから。
ここで何が起きていたのかわからないが、台についている血痕とボロボロの拘束具が事の壮大さを教えてくれる。
「外したのか」
拘束具はボロボロになっており、部分的には千切ったようになっている。
彼はもう逃げたんだろうか。
「いや、保安庁がそんなミスをするわけないか」
千切れる程度の拘束具を使うはずがない。ならどういうことなのか?
「想定外だったのか? いや、計画して千切らせたのかも知れないな」
見当が付かない。
「別の部屋に行くしかないか」
彼がどのようになっているのか……秘宝の実験体になっているのかもしれないし、違法な改造をされているのかもしれない。
実態がわからない以上、下手な行動はできない。
しかし、ただ拘束されているのではないことはわかる。
「彼こそが原点だ。助けなければ」
覚悟を再確認し、踵を返す。
「……扉閉じちゃってるじゃん」
この部屋は内ドアだ。入るときは押すだけで良かったが、出るときは引かなければいけない。
両腕がない人にできるのだろうか?
「頑張るしかないよなー」
あの扉結構重かったはずだ。覚悟を決めた途端であるが、こんなところで挫かれるとは思わなかった。
しかし、部屋に入ったときは気づかなかったが、意外とハイテクな部屋だったらしい。
「あれ、開いた」
扉が勝手に開いてくれたのである。自動だったみたいだ。確かにあんな重い扉を毎回開けるなんてことしないよな!
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