15話目
15話目
毒無効の秘宝を使い毒化粧で死んだ職員の服を剥ぎ取った吉村は廊下を適当に歩いていた。毒の周りにいた人は漏れなく死んでいたので服を取るのは簡単だったのだが、彼がどこに居るのか分からない事に気付いたのだ。
仕方がなく足を使い探すことにした。
だが、職員の恰好をしていると直面する問題があった。
「あ、君事務だよね。弾の補充をしたいんだけど、どこにあるかな?」
話しかけてきた男は胸に付けている名札を見ていた。
「申し訳ありません。銃弾は私の管轄ではないので……佐々木さんに聞いてください」
「そう? まあいいやありがとう」
男は去って行った。
その間吉村は緊張していて息が出来ていなかった。だって普通に業務の事を話しかけて来るんだ。間違った事を言えば変装していることがバレてしまう。
とはいえ、今回はうまく対処できたみたいだ。見えなくなった事を確認してため息をついた。
剥ぎ取る服を選り好みする時間があったので、沢山ある中から事務を縁らんだのは良かった。もし、これが事務ではなく保安官なら体型からしてバレていただろうし、そもそも保安官が何をしているのかすらわからない。
ちなみに、佐々木さんは毒化粧ですでに死んでいた事務職員だ。
「さて……一先ず地下に行ってみるかな」
どこに行けば彼に会えるか分からないが、軽く歩いてみたところ地上には怪しい物は無かった。しかし一つ珍しい所を見つけたのだが、それは地下に行くための階段と思われる場所だ。
その階段には入れないように鉄格子でふさがれており、専用の鍵が無くては駄目そうだ。
彼がいるとすればその先だろう。
しかし専用のカギをどうやって入手しようか。
解かなければいけない電子ロックの前でどうすればいいのか頭を悩ませる。もしただのカギなのであれば、針金かなんかがあれば入れるのかも知れないが、電子ロックなので専用のカードキーが無くちゃだめだろう。
「どうすれば……」
何かないかと剥ぎ取った服のポケットをゆさりなにか入っていないか確認する。するとカード状のものが入っていることがわかった。
これじゃないよな?
疑心暗鬼になりながらも、そっとポケットの上から電子ロックにかざしてみるとかざしてみるとガチャと音が聞こえ鉄格子が上へ上がった。
「開いたじゃん」
呆然としながらも中に入ると、機械で検知されたのか鉄格子が下がっていく。
「……あ、閉じ込められたじゃん」
安全に立ち回ろうと思っていたのに何やってんだよ。
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