13話目
13話目
使いようによっては絶大な利益を生んでくれる秘宝 タナトス。効果に相まって代償も大きい。
ピクリとも動かせなくなった腕を感じながらこの後どうするか考える。
タナトスの効果時間は10分程度。その間ずっと幽霊状態だ。
これを好機と動いてもいいのだが、効果が切れたとき居た場所が壁だったら生き埋めになってしまうため下手に動き回ることはしたくない。
しかし、動かないでいたら効果が切れたとき目の前にあの女性がいたら、死んでしまうだろう。
「……よし、あんまり動かないでおこう」
廊下のはずの方向に10メートルほど移動する。屋上に行くあんも考えたが、あれだけの銃声を鳴らしてから10分経てば誰かしら人が寄ってくるはず。
それが、どれくらいの集団かは分からないが、武装していたら何もできず死んでしまう。
そのため安パイをとって女性がいたとしてもなんとか対処できるであろう距離を取るにとどまる。
信者たちならば危機に臆せず移動しまくるのかもしれないが、平凡である吉村にはできなかった。
しかし、この位置にいる上でのメリットはそれなりにある。
「そろそろかな」
そんなこんなで10分が経った。
タナトスの効果が切れ吉村の姿が現れる。
周りを確認しすぐに殺される位置ではないことを確認した。だが、すぐ先には保安庁の職員がたくさんいるようだ。
しかし吉村がいることには気が付いてないようだ。
仕掛けるには絶好のチャンス。このチャンスを逃さないため躊躇せず代償が大きい秘宝を使用した。
すると、職員たちは突然苦しみだし倒れた。
秘宝 毒化粧
ウイルス性の毒を生成し、その毒に感染した人は抵抗することができない程の激痛を感じながら数秒で死ぬ。
そして、その毒は死体を媒介にし増殖する。つまり、パンデミックが起こるということだ。
バタバタと倒れる職員たちを見ながら一先ず安心する。吉村は毒無効の秘宝を身につけているため効かないから一先ずは安心だ。腕が使えない状態では秘宝を使わなきゃ何も出来ないから、もしこれで倒れなけれてくれなければ死んでいたのは吉村だっただろう。
しかし、毒無効の秘宝にももちろん代償がある。タナトスのように両腕が無くなる程ではない。それでもいまの吉村にはキツイ代償だ。
代償は体力。削られていく体力を感じながら、毒が蔓延しているエリアから離れようとするのであった。
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