11話目
11話目
速度が落ちたのを見計らって飛び降りた。今までに何度かスカイダイビングはしたことあるけど、ここまでハラハラして飛び降りた事は無いだろう。もし平常時なら飛び降りることすら拒否してしまう。
それでも、後には引けない状況だったから意を決した。
風が体を切り裂くように通り抜ける。
「いま」
背に付けていたパラシュートを開き、保安庁の建物があると思われる場所に目標を付けた。アイギスのせいで見えないが、それは吉村が害を与えようとしているからだ。数年前まではちゃんと見えていた。
首にかけている炎龍の咆哮を口に加えた。
その時、保安庁の方から声が聞こえた。侵入しようとしていることがバレたのだろう。
だが焦る時ではない。
ひとまず炎龍を使おう。口の中に空気を溜め笛に向かって一気に吐き出す、すると持っていた、自動防御の秘宝と、治癒の秘宝、そして身体強化の秘宝が壊れると同時に、耳をつんざくような轟音が前方へ響いた。
すると、前方に大きな建物が出現した。
「ここか……どうするかな」
ひとまず着陸地点を探さなければいけない。しかし、残念な事にアイギスが晴れた先に見えたのは、集中砲火する用意が整った職員であった。
総勢数十にものぼる人たちが銃をむけて構えている。着陸する前に避けなければいけなさそうだ。
だがパラシュートで降りている吉村は素早く動くことが出来ないため、どうする事も出来ない……ように見えるかも知れない。
懐から手首サイズのナイフを取り出し、背中に繋がれている紐を切り取った。そんなことをしてしまえば自由落下になってしまうが、目的はそれだ。
パラシュートで降りている人を狙うならまだしも、空から落ちてきてる人を打つのは至難の業。そうそう当たらないだろう。
その事が分かっているのかしらないが、職員たちは銃を乱射し始めた。銃弾は残像をかすめていく。
吉村は降りる位置を見定め、そこまで行けるように空気抵抗が大きい態勢へと変えた。すると、うまい事空気に乗れたのか保安庁の屋上の真上まで来れた。
今度は空気抵抗を出来る限り減らせるよう真下を向いて落下する。その間も絶えず銃弾が飛んでくるが一切当たらない。今日初めて触ったんじゃないかと疑いたくなるほどだ。
「うまく着地できるかな!」
そう叫んだ数秒も経たないうちに、屋上へと落下した。だが、落下音はせず、肉片は飛び散らず、さらには砂ぼこりの中に立っている人影があった。
「成功!」
特別な技法により、落下の衝撃を完全に逃がしていた。怪我一つなく上空数千メートルから自由落下で生還したのだ。
なぜ平凡な吉村にそんな事が出来たのか?
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