7話目
7話目
吉村はベルモンド国王との交流を終えた後、時間を確認しながらダンジョン都市【白の森】へジェット機をつかい帰っていくのであった。
戦いが始まっている中、悠長に移動するのは落ち着かないが、帰りは転移門を使う事は出来ないから仕方が無いだろう。
それに、元々帰る時間は予定の内に入っている。計画は順調なんだ。
「一野から9つ目の市を占拠したと報告が入りました」
そのうえ信徒たちも順調だ。都市を構成する21の市のうち9つも占拠し終えているのだから。ただここで油断するわけには行かない。
保安庁のやつらは秘密裏に作っている兵器をまだ出していないだろうからな。
「しかし負傷者が予想よりも多いとのことです」
「異能者の負傷は?」
「まだいないようです」
「なら、大丈夫か……ベルモンド国王の兵士が来るまで粘っていればいいだけだろうから」
ダンジョン都市を攻めるうえで大事になるのが異能者だ。ダンジョンが出来てから数年後から出てきた人たちなのだが、火を噴いたり、光を出したり。吉村の場合は未来が見えたりする。
そんな人たちがうちの宗教には多くいた。一説には異能者になるのに必要なのは強い感情らしいので、薬物や、違法ドラッグを使用していた人が多い分異能者も多いのかも知れない。
吉村だって一時期やっていた薬物で異能を発現した口だ。
「今回一番大切なのは異能者。その中でも八神がキーパーソンだ。出来る事なら前に出さ内容にした方が良い」
「八神さんは今のところ2階戦闘に参加しているそうです」
「体調はどうだい?」
「傷一つなく万全とのことです。しかし保安局側が秘宝を使用してきているようで、今は後方で待機しています」
八神はうちの信徒のの中で最高戦力と言ってもいい程の異能を持っている。やすやすと手放すわけには行かないんだ。
「それでいい。出来る事なら最後の戦いまで後方にいてほしいのだが……そうは行かないよな」
今回の作戦で難所になると思われるのが保安庁がある市の占拠、そしてダンジョン周辺だろう。保安庁がある市の占拠は言わずもがな、ダンジョン周辺にはギルドがあり冒険者も沢山いるはずだ。
ギルドと比べて秘宝の数が少ないから、この二つの戦いは本腰をいれて最大戦力で戦わなければいけない。秘密兵器があるとはいえ八神を欠けさせて挑みたいと思えるほど落ちぶれてはいない。
「今のペースですと保安庁のある市に攻め込むまでには私達も参戦出来そうです」
「……ギリギリだな」
「新アステカ王国の支援が来るのはその後と思われまずが、ギルドとの戦闘の際には戦力として数えることが出来るでしょう」
天井を見上げ今後の行動を頭に浮かべ再確認する。
有紗はその様子を心配しながら見る。その時吉村の目が少し輝いたのが見えた。
「順調だ……だけど、パラシュートを用意してもらってもいいかな」
「降りるんですか」
「そうそう。着陸してからだと遅いからね」
有紗は何も言わず非常用のパラシュートを用意し始めるのだった。
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