6話目
6話目
「なんと! 生命の器か!」
ベルモンド国王は知っているようだ。
「最後の晩餐のさいにキリストの血が入ったと言われる器。その概念から罪の制裁を行います。制裁が完了した暁には生命の再生が行われ復活を遂げるそうです」
「はやく! 早くそれを持ってこい!!」
食いついた。
吉村はベルモンド国王の反応にほくそ笑んでいた。自分には必要ない代物が、利益を生んでくれそうだからだ。
吉村は王の前まで歩いていき手渡す。
「ほう!! よし、支援は拡大させてもらおう! そして、吉村の功績から我が国でも難民の保護を開始する!」
王の間全体に反響するほどの大きな声。気合が入っているとわかる声質。
今回の交渉はうまく行ったんだ。吉村は思わず膝から崩れ落ちそうになる。
毎回のことだ。
吉村はただの凡人で特別なところは何一つない。そんな人が才あふれる人と真正面から話し合うのは精神が削れて行ってしまうのだ。
だが、まだベルモンド国王との交流は終わっていない。足に気合を入れるのだった。
「ありがとうございます!!」
「おう! こんな秘宝をもらったからにはやらせてもらうさ!」
頭を深く下げ感謝する。すると手を前へ出してきた。
握手だ。
出された手を握り返す。前回の交流でも前々回の交流でも握手はしなかった。
そういう関係だったということだ。
しかし、今回握手させてもらった。ということは認められたということ。
今までの努力が実った。
その時であった、王の間の扉が開かれたのは。
「どうした!! 今は入って……」
「緊急です!! ダンジョン都市【白の森】3分の1が占拠されました!」
「!!!」
やってくれた!!
白の森とは4つあるダンジョン都市の一つ。吉村が破壊しようとしていたダンジョンがある都市だ。つまり信徒たちがやってくれたと言う事。
準備していたとはいえ、たった一時間で占拠してくれるとは。
期待に答えてくれるとはこういうことか。
「お前か! よくやったぞ!」
「ありがとうございます」
「このチャンスものにせねば!我が国から兵を出そうではないか!」
「ありがとうございます!!」
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