5話目
5話目
転移門を使った先、そこは王の間であった。
「吉村よ、よく来た!」
「お久しぶりですベルモンド国王」
「おう、久しぶりだな! 茶でも飲んでいかないか!」
「申し訳ありません、無下にしたいわけではないのですが緊急の報告がございまして」
「そうか……まあいい! 言ってみろ!」
ベルモンド国王はまさに体育会系というよう言葉が似合う人だ。声がでかく終始明るい。しかし上下関係は気にしないみたいで、硬い会話は嫌いだと初めてあった時言われた。
「難民の人数が増えてきておりまして、食料が枯渇してきております。支援をお願いできないでしょうか」
「そんなに増えてるのか? 前回も結構支援した気がするが」
「現在のダンジョン封鎖の影響で混乱が生じてまして、想定していたよりも何十倍も増えてきているんです」
「そうか……」
ダンジョンが封鎖されたことによって、ダンジョン都市は経済活動が滞ってしまっている。それが嫌なのか資産家たちは無理な経営を行なっていたのだ。そのせいで社会情勢が壊れてきて、この前なんかダンジョン都市が関与している国で反乱が起きてしまった。
その影響で難民が増えているのだ。
「だが、そう簡単に支援できるもんでもないんだよな」
「承知の上です。ですので一つお願いがありまして……」
「なんだ? 俺も難民には心を痛めるからな。出来る事ならやるぞ」
「では、新アステカ王国で難民の保護をお願いしたいのです」
吉村の宗教では保護できる難民には限りがある。なら沢山保護できる所にお願いしたいのだ。
そもそも、うちの宗教は土地を持っていないない。
かしてもらっている土地で保護しているだけなんだ。だから、限りがあるのだ。
それに比べて新アステカ王国は莫大な土地があるので、お願いするのにはうってつけ。
「ムムム……情勢的に無理だな」
分かっている。難民の保護と言うのは国として行うのは難しいということは。国籍の問題になってしまったりする。吉村たちが保護できているのは宗教だからであって、その辺のしがらみが薄いからだ。
「もちろん何もなしにお願いするわけではありません。秘宝を一つ送らせて頂こうと思います」
「ほう、それなら飛行機という奴が欲しいぞ! 転移系の秘宝は貴重だからな!」
王の言葉に苦笑してしまう。
「申し訳ありません。飛行機に関してはお目こぼしを。その代わりと言っては何ですが、同等と言えるほどの秘宝を用意しました」
「飛行機と同等だと?」
「はい」
この秘宝を用意するのは大変だった。信者が1人死んだ上に、吉村も死にかけたのだから。
懐から布に包まれ杯を取り出す。
「こちらは生命の器でございます」
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