2話目
2話目
「お疲れ様です吉村様」
秘書のような役割を担当してくれている有紗さんがタオルを渡してくれた。優しくて信念を曲げないいい人だ。
吉村は渡されたタオルを受け取りながら気持ちを再確認した。この先、生まれてくる子供たちを守る未来を求めて。
それにしても、覚悟はあったとはいえ、10万人の前で演説を行うのは身体的にも精神的にも強い負荷があった。
べとっとした汗をタオルでぬぐう。
「ありがとう。それにしても、疲れたよ」
「ご苦労様です。一大プロジェクトですから疲れてしまうのも仕方ないです」
彼が犯罪を起こしてから計画され始めたこのプロジェクト、名をアンドロメダ。
ダンジョン経済が一時停止したこの時を最大限活用できるよう作成されたアンドロメダプロジェクトは、動き始めたばかりだ。
「とは言え直ぐに移動しなきゃね。次の予定は何かな?」
「一時間後に新・アステカ王国国王との交流がございます」
「あー、ベルモンド国王か。ならちゃんと合わないといけないね。食料とか支援してくれてるし」
新・アステカ王国は、ダンジョンが出現してから数日もかからずにできた国だ。インディアンと呼ばれていた現国王であるベルモンドは、ダンジョンから出てきた秘宝を使いアメリカを滅ぼしたらしい。
そのせいで建国当時は相当荒れていたみたいだが、最近では平等を重視した政策を多数おこなっているらしく評判がいい。
そのことを聞き吉村は手を貸してほしいと言いに行ったんだ。平等を重視しているなら今のダンジョン都市は間違っていると分かってくれるかもしれないと。
そしたらベルモンド国王は快く手を貸してくれたんだ。
なんでもダンジョン都市はやりすぎだと思っていたらしい。ただ、新産の国では相手にもされず、どうにもできなかったようで、この機会にと支援してくれているんだ。
その代わりと言っては何だが、支援する代わりにダンジョンを壊してくれと言われた。
ベルモンド国王が国を作れたのはとある秘宝に頼っていたからであって、同じような秘宝は出てきてほしくないんだそう。
「なら直ぐに行こうか」
「分かりました。飛行機の手配はすでに行なっております」
「用意が良いね」
吉村は車に乗って目的の場所まで行くのであった。
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