33話目
33話目
中にいたのは情報通り鳥のボスであった。しかし、鳥とはいっても大きさが桁違いだ。ボスからみたら、俺なんて猫や犬のようなサイズ。
「まあ、これがあれば十分だよな」
手に持っている銃を素早く構えた。直ぐに使わなければ駄目だと言っていたからな。
脳に入ってきた情報通りスライドを後退させる。その時に代償を消費する。今回はポーチに詰めている脂肪だ。言われている通り2つ消費しトリガーへ指をかけた。正直銃の打ち方なんて知らないが、照準を合わせて打てばいいだろ。
そう思いさっそく1発打つことにした。
ドン!!!
鼓膜が破れるん座無いかと思うほど大きな音とともに、レーザービームのような弾が発射された。それが当たれば確かに、ボスを倒せるだろう。
当たればだ。
弾はボスから大きく右へずれ20メートルほどで減速し止まった。
「ムズ!」
銃初心者が1発目から正確に当てられるはずが無かったのだ。その攻撃を見た鳥は焦ったのか、バサバサと羽を振り飛ぼうとし始めた。
「やばい!」
当たらないんだったら、最初っから短剣で攻撃すればよかったか。思わず反省をはじめてしまう。
その時一つ妙案を思いついた。
……近寄ればいいか。
鳥から俺までの距離はそれなりにある。この距離から撃つのは心配だ。それに、代償に出来るのはあと1回だけ。
この一発を外すわけにはいかない。なら、当たる距離まで近寄ればいいんじゃないか?
幸い俺には疾走がある。短剣の距離まで近寄れずとも、銃が届く距離までなら近寄れるだろう。
とっさに思いついたことではあったが、いい案だと思う。
俺は足に力を入れ疾走を使い、飛ぼうとしている鳥まで近寄る事にした。距離は15mほど。
その距離を詰めて銃を発射する。
飛び立とうとしている鳥を見て、撃つ位置を間違えぬよう走る。
バサバサと音をたてて鳥が少し浮いた。しかしまだ走る。
俺一人分宙へ浮かぶ。だがまだ走る。
そして本格的に飛び立とうとした時、俺は足を止めて銃を構えた。消費するのはさっきと同じように、脂肪二つ。
スライドを後退させ、直ぐにトリガーへと指をかけた。
今度こそは外さないよう、反動でずれないようにしっかりと持った。距離は5メートルもない。
「いけ」
トリガーを引いた。
放たれる銃弾の轟音により耳が痛くなるがそんな事がどうでもよくなるくらいの速さで鳥を貫いた。
貫いた衝撃で鳥の魔物は肉がはじけ飛び、血の雨を降らす。
「きたねぇなぁ」
ギリギリであったが、うまく倒すことが出来てよかった。そう安堵を漏らすことはせず、ただ今の状況に苦汁を呈する。
その時、ポン!と音が聞こえた。
宝箱だ。
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